サリサリサリ…… やはり鉄ペンは紙あたりがやや硬い。筆圧が強めであれば寧ろ書きやすいと言える。筆記角度は万年筆に珍しく、立てて書く人向けか。スケルトンボディ故、安っぽくもあるが、インクの減りが目に見えて、紙に映るインク色が美しい。 「ここのインクは粘度が低くてシャバシャバですね。ほら、再生紙だとヒゲが出ます」 此処は流延高校文具研究部。 部長の十和田よろずが伸びをすると、ポキポキ関節が鳴った。

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「まったく、部長の言う事はいつも分からんねぇ。」 「ならやめて貰っても良いんですが。」 「ち、ちげーよ。俺だって理解しようとはしてる。」 こうして会話するのは高身長を誇る熱血漢、蓬莱 蔵人くん。 「ただな、ただ。俺と部長の感覚は違うっつーか。あれだ、人それぞれだ。」 「へーそうですか、はい。」 「……えー。」 さて、蔵人くんは放っておいて鉄ペンをいじっていると、やっと最後の一人が来ました。

内藤

6年前

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