どうも、スマホです。
どうも、スマホです。
ユーザー認識チップ搭載の、スマホです。
ユーザーは知りませんけど。
慣れないフリック操作を導いてあげるのが使命だと、信じてます。
「あ?!なんで何度打っても反応しないの?!」
私のご主人、精神的に不衛生な言葉を打とうとするので困じています。
「他の誰かに先越されちゃうよ!この展開しかあり得ないのに!!あ!!」
あたななかはらややなかは
「荒らしと思われるー!」
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どうも、スマホです。
聞かれたら何でも答えるスマホです。
わからないときはウェブでお調べしますけど。
さて、ご主人様は指をすべらせ、先ほどの文章をそのまま投稿してしまったようです。
「あたしのバカ…」
ご主人様は私を放り出しました。
私は床にぶつかって息がつまり、思わずフリーズ。
「え、なにこれ⁉」
しかもご主人様が力一杯連打したので、私のホームボタンは凹んだまま戻らなくなりました。
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凹んだ私を見てご主人様まで凹んでしまいました。私は凹んだホームボタンに意識を集中しました。ご主人様も懸命に私を助けようとしています。
ご主人様と私の気持ちが通じ合ったのでしょうか、奇跡かもしれません。
凹みがなおりました。
ご主人様は、私を優しく撫でてくれます。
「当たったりしてごめん」
涙なんて出ない私ですが、ご主人様の涙で私の画面が濡れたようです。私まで泣いているようでせつないです。
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どうも、スマホです。
ご主人様の流した大量の涙が、受話口から私の中に入り込みました。
防水性能をウリにする仲間もおりますが、私は潔くそんな機能ございません。
ご存知でしょ?
涙はリン酸塩を含み機械には天敵です。
ですから当然チップやられました。
はい、もうしっかりとバイブの動きがシブくなりましたです。
まだご主人様はこの事実を知りません。
翌朝、起こす能力が半減する時に気づかれるでしょう。
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どうも、スマホです。
翌朝、震えないアラームのせいで起きられず予定に遅刻したご主人様。
ご主人様はバイブの調子が悪くなった私にガッカリした様子でした。
私は修理に出されることになりました。
修理と言っても、実際は交換です。
故障した私は新しいものと取り替えられます。
私も交換されることになりました。
ユーザー認識チップは引き継がれるそうなので、私の記憶も引き継がれると良いのですが…。
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私は、私ですか?
交換は無事に終わった様です。ご主人様はご満悦です。
私のデータが引き継がれる前、この個体はどう思っていたのでしょうか。
これから始まる新しい生活に、心震わせていたのでしょうか。
私は今まで通りの私でしょうか。
新しい個体がチップを読んだ時、既に何か変化が有ったのでしょうか。
私の気持ちは、チップの中の、単なるデータ。
私が壊れて、私が私を私と感じられなくなったら……消える。
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どうも、スマホです
私が私か。そんなこと考えているうちに、ご主人様の温かい手で包まれました。
はい。これははっきり記憶にあります。ボタン事件の時です。あの時撫でて下さった手の温もりは、そのままでございました。
「ありがとう」
ご主人様は幾つかあるアプリから探し出した喋って機能に向かってそう話しかけました。
「ありがとうございます」
そう答えました
私とご主人様の最初の会話でした。
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どうも、スマホです。
先ほどご主人様に感謝の言葉を述べられ、まだすこし火照りが残る私は、ご主人様と共に私のカバーを選んでいます。
ご主人様が私に真っ赤なカバーを買ってくれました。
「やっぱりこの色が似合うや」
ボソッと言ったご主人の言葉にまた火照りだす私。
新しい真っ赤なカバーのせいでご主人様にばれないかすこし心配になりました。
とても幸せでした。
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どうも、スマホです。
真新しいカバーに包まれ幸せな私は、至福の時を過ごしておりました。
ご主人様の温かい手。優しい笑顔。そして何より、嬉しい言葉の数々……。
あれから何度も声をかけていただきました。
こんな機械の私にとって、ご主人様とお話ができるのは本当に嬉しいです。
カバーの下が少し熱くなったのにお気づきですか?
やはり私はご主人様が大好きです。
これからも末長くよろしくお願いします。
- 完 -
作品情報
どうも、スマホです。
#4056
- リレー期間
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29日