復讐のラクガキ
いつもと変わらない毎日
進級して変わったことといえば
移動教室と呼ばれる授業時間
選択した科目で教室が違うのだ。
僕はクラスメイトと別れて選んだ科目の教室に入る。
まだだれもきてないのか…
そういえば自由に席に座っていいと先生が言ってたな。
そしてふと目に入った机に座って荷物を置こうとしたときだった。
「んっ!?ラクガキ…?」
机には
"こんにちは"
と、一言書かれていた。
- 1 -
「誰のラクガキだろう?まぁ授業まで時間あるし、一言返事書いとこ♪」
『どうも、僕は2年3組のM.Kです。あなたは誰ですか?』
返事なんて来るわけないだろうな。綺麗な字だけど、女子からの返事ならイイな。
彼女いない歴イコール年齢の真琴は淡い期待をよせていた。
次の日、来るわけないと思っていながらも、あの机を見に行ってみた。
すると、返事が書いてあるではないか。
相手は…
- 2 -
『私は2年6組のS.Hです。どうぞよろしく』
一見素っ気なさそうだが、一文字一文字に温かみを感じられる。どんな人だろうか?
真琴は気になって仕方がなかった。
『返事ありがとうございます!あなたの性別を聞いてもいいでしょうか?』
書き終わると同時にチャイムが鳴った。
担当の教師がミーティングを開始する。
「今日はこの前に連絡した通り、全5クラスでの合同授業だ」
面倒だなぁ……。真琴は呟き席に着いた。
- 3 -
ん…?
ちょっと待てよ?
全5クラスだと?
そう言えば、真琴の学年に6組は存在しない。と言うことはつまり、ラクガキの主は正体を明かす気など始めから無く、始めから真琴からの返事を鼻で笑い飛ばしていたのか。
温かみが感じられるなんて、よく言ったものだ。
それでもやっぱり、真琴はラクガキの主が気になった。2年と言うのは本当かも知れないし、あの教室を使うクラスと言うと、他に何があったかな。
- 4 -
思いついた授業は3つ。
真琴のHRの後に行われる授業で、かつ、昨日の時間割の中に存在するものだ。
絞れたものの、どれも決めてに欠けていた。
考えてみると、割合多くの人間がこの席に座っていてもおかしくない。
自由席であることを考慮すれば、同じ席に座る時点で、執着心があり、早めに席についてしまうタイプだろう。
じきにわかるか~
まだ6組が存在してた十年前の生徒の幽霊でないことだけ祈っていよう。
- 5 -
あれから一週間がたった。…でも返事はいっこうにかえってこない。
机の落書きの主は未だに検討もつかない。
真琴は、あの落書きのことを忘れかけていた。
今は昼休み。昼からの授業、何だったっけ?
まだ、毎日の時間割をはっきりと覚えてはいない真琴は時間割表を見て、複雑な気持ちになった。
今日は6時間目にあの教室で授業がある。
妙な胸騒ぎがした。
もしかしたら…
- 6 -
胸騒ぎがした。
期待を膨らませ、いつもの席につく。
恐る恐る机を見ると
そこに返事は、なかった。
やっぱりからかわれてたのかな。
内心ホッとしたが
気づけばガッカリしていた。
授業に集中できるわけもなく
その日一日が過ぎて行った。
- 7 -
その日の帰り道。僕はかなりがっかりしていた。正体が分からずじまいで気味が悪いというよりも、どちらかというと"がっかり"だ。
その時後ろに気配を感じ振り向いた。
「真琴君・・だよね?」
そこには女がいた。
顔を見たくても逆光で何も見えない。
「がっかりしてた?」
え。
何を言ってるんだコイツ。きもい。
「お前、、、あの机の幽霊か?!」
顔は見えないけど、女は確実に笑っていた。
- 8 -
「そうよ」平然と答えた。
「どう?裏切られた気分は?」と続けた。
苛立ち、そして理由を尋ねた。
「姉の復讐を果たすため。」と漏らした。その彼女の顔は見えなかったが、闇に染まる強い敵意を感じた。彼女は滔々と話した。
彼女の姉は男に騙され弄ばれて自殺したらしい。騙される気分を味わって欲しかったらしい。
亡き姉への忠誠心が生み出した惨劇はこれにて幕を引いた。
「歯切れ悪いな~」と真琴は零した。
- 完 -
作品情報
復讐のラクガキ
#356
- リレー期間
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2ヶ月