復讐のラクガキ

いつもと変わらない毎日 進級して変わったことといえば 移動教室と呼ばれる授業時間 選択した科目で教室が違うのだ。 僕はクラスメイトと別れて選んだ科目の教室に入る。 まだだれもきてないのか… そういえば自由に席に座っていいと先生が言ってたな。 そしてふと目に入った机に座って荷物を置こうとしたときだった。 「んっ!?ラクガキ…?」 机には "こんにちは" と、一言書かれていた。

noname

13年前

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「誰のラクガキだろう?まぁ授業まで時間あるし、一言返事書いとこ♪」 『どうも、僕は2年3組のM.Kです。あなたは誰ですか?』 返事なんて来るわけないだろうな。綺麗な字だけど、女子からの返事ならイイな。 彼女いない歴イコール年齢の真琴は淡い期待をよせていた。 次の日、来るわけないと思っていながらも、あの机を見に行ってみた。 すると、返事が書いてあるではないか。 相手は…

ari

13年前

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『私は2年6組のS.Hです。どうぞよろしく』 一見素っ気なさそうだが、一文字一文字に温かみを感じられる。どんな人だろうか? 真琴は気になって仕方がなかった。 『返事ありがとうございます!あなたの性別を聞いてもいいでしょうか?』 書き終わると同時にチャイムが鳴った。 担当の教師がミーティングを開始する。 「今日はこの前に連絡した通り、全5クラスでの合同授業だ」 面倒だなぁ……。真琴は呟き席に着いた。

ルーク

13年前

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ん…? ちょっと待てよ? 全5クラスだと? そう言えば、真琴の学年に6組は存在しない。と言うことはつまり、ラクガキの主は正体を明かす気など始めから無く、始めから真琴からの返事を鼻で笑い飛ばしていたのか。 温かみが感じられるなんて、よく言ったものだ。 それでもやっぱり、真琴はラクガキの主が気になった。2年と言うのは本当かも知れないし、あの教室を使うクラスと言うと、他に何があったかな。

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思いついた授業は3つ。 真琴のHRの後に行われる授業で、かつ、昨日の時間割の中に存在するものだ。 絞れたものの、どれも決めてに欠けていた。 考えてみると、割合多くの人間がこの席に座っていてもおかしくない。 自由席であることを考慮すれば、同じ席に座る時点で、執着心があり、早めに席についてしまうタイプだろう。 じきにわかるか~ まだ6組が存在してた十年前の生徒の幽霊でないことだけ祈っていよう。

aoto

13年前

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あれから一週間がたった。…でも返事はいっこうにかえってこない。 机の落書きの主は未だに検討もつかない。 真琴は、あの落書きのことを忘れかけていた。 今は昼休み。昼からの授業、何だったっけ? まだ、毎日の時間割をはっきりと覚えてはいない真琴は時間割表を見て、複雑な気持ちになった。 今日は6時間目にあの教室で授業がある。 妙な胸騒ぎがした。 もしかしたら…

•紅蓮•

13年前

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胸騒ぎがした。 期待を膨らませ、いつもの席につく。 恐る恐る机を見ると そこに返事は、なかった。 やっぱりからかわれてたのかな。 内心ホッとしたが 気づけばガッカリしていた。 授業に集中できるわけもなく その日一日が過ぎて行った。

noname

13年前

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その日の帰り道。僕はかなりがっかりしていた。正体が分からずじまいで気味が悪いというよりも、どちらかというと"がっかり"だ。 その時後ろに気配を感じ振り向いた。 「真琴君・・だよね?」 そこには女がいた。 顔を見たくても逆光で何も見えない。 「がっかりしてた?」 え。 何を言ってるんだコイツ。きもい。 「お前、、、あの机の幽霊か?!」 顔は見えないけど、女は確実に笑っていた。

Imi

13年前

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「そうよ」平然と答えた。 「どう?裏切られた気分は?」と続けた。 苛立ち、そして理由を尋ねた。 「姉の復讐を果たすため。」と漏らした。その彼女の顔は見えなかったが、闇に染まる強い敵意を感じた。彼女は滔々と話した。 彼女の姉は男に騙され弄ばれて自殺したらしい。騙される気分を味わって欲しかったらしい。 亡き姉への忠誠心が生み出した惨劇はこれにて幕を引いた。 「歯切れ悪いな~」と真琴は零した。

skyrain26

13年前

- 完 -