◯◯100パーセント
全部全部。
そう、全部。
この世の全てが。
消えてしまえばいい、
そう思った。
何もかも、
終わってしまえばいい、と。
深い闇にのまれるように
底なし沼に
はまっていくように。
この世界の全てが
終わりを告げればいい。
- 1 -
戦争が
国を滅ぼしてゆくように。
何かが
得体の知れない恐ろしい何かが
ここを消し去って
なにもかも
ぜんぶ
紅に染まる
- 2 -
鮮明な光が
地球をめぐるように。
何かが
目の眩むような強い光か何かが
ここに落ちてきて
なにもかも
ぜんぶ
白に染める
- 3 -
ふいに
世界は音を消した。
静寂が逆に耳をつんざく。
そう
その瞬間
人類は僕を残して
一人残らず消えてしまった
- 4 -
そして
世界は
光を消した。
パチンと
部屋の電気を切るように。
目に見えるもの全てが消えた。
世界はただ
終わりの無い
真っ暗な闇だけに包まれて
静かに息を吸って、吐く。
取り残された僕は
目だけをぱっちりと開いて
世界の臨終を見守っている。
- 5 -
進化論は
過渡期だったから
退化するには
ちょうどよかった
社会は便利になり過ぎたから
リセットするには
ちょうどよかった
宙を見上げなくなって
久しかったから
世界が終わるには
ちょうどよかった
──でも、
苦しい気持ちだけが
残ってしまった。
誰かと一緒に、
この世界で、
過ごした記憶があったから。
- 6 -
僕はどうして
この世界を
嫌いになったんだろう。
きっかけは、僅かな、本当に僅かで
思い出せないくらい 小さなこと
でもその小さいものは
時を経ることにより
どんどん ずんずんと
大きくなっていって
僕を超えて あの子を超えて 国を超えて 世界に到達
しました。
ああ、くだらない回想。
でももう少し浸ろうかな。
あれ、あの子って、
一体誰だったかな。
- 7 -
記憶が、ポロポロと脳髄から零れ落ちているようだ。
今日、目を覚ました僕はぼくの名前を忘れていた。
ベッドの中で蹲る。
寝室の棚の上に置かれた、埃っぽい写真立て。
その中で微笑む名前を忘れた彼女。
明日目覚めたときは、何を忘れてしまうのだろう。
人が消えた世界に取り残された、僕の心の世界も消えていく。
そして次の日、目覚めると。
僕はぼくでは無くなっていた。
- 8 -
錆びついていた時計が再び時を刻み始めていた。
縺れた糸は解けだし、
古びた迷路は一筋の道になる。
永遠のような一瞬。
音のないメロディー。
大地の記憶は今日も囁いてくれるだろうか。
大分麦焼酎 二階堂
- 完 -
作品情報
◯◯100パーセント
#9334
- リレー期間
-
1年2ヶ月