◯◯100パーセント

全部全部。 そう、全部。 この世の全てが。 消えてしまえばいい、 そう思った。 何もかも、 終わってしまえばいい、と。 深い闇にのまれるように 底なし沼に はまっていくように。 この世界の全てが 終わりを告げればいい。

紡海

12年前

- 1 -

戦争が 国を滅ぼしてゆくように。 何かが 得体の知れない恐ろしい何かが ここを消し去って なにもかも ぜんぶ 紅に染まる

12年前

- 2 -

鮮明な光が 地球をめぐるように。 何かが 目の眩むような強い光か何かが ここに落ちてきて なにもかも ぜんぶ 白に染める

Ein Schwur

11年前

- 3 -

ふいに 世界は音を消した。 静寂が逆に耳をつんざく。 そう その瞬間 人類は僕を残して 一人残らず消えてしまった

- 4 -

そして 世界は 光を消した。 パチンと 部屋の電気を切るように。 目に見えるもの全てが消えた。 世界はただ 終わりの無い 真っ暗な闇だけに包まれて 静かに息を吸って、吐く。 取り残された僕は 目だけをぱっちりと開いて 世界の臨終を見守っている。

kam

11年前

- 5 -

進化論は 過渡期だったから 退化するには ちょうどよかった 社会は便利になり過ぎたから リセットするには ちょうどよかった 宙を見上げなくなって 久しかったから 世界が終わるには ちょうどよかった ──でも、 苦しい気持ちだけが 残ってしまった。 誰かと一緒に、 この世界で、 過ごした記憶があったから。

おやぶん

11年前

- 6 -

僕はどうして この世界を 嫌いになったんだろう。 きっかけは、僅かな、本当に僅かで 思い出せないくらい 小さなこと でもその小さいものは 時を経ることにより どんどん ずんずんと 大きくなっていって 僕を超えて あの子を超えて 国を超えて 世界に到達 しました。 ああ、くだらない回想。 でももう少し浸ろうかな。 あれ、あの子って、 一体誰だったかな。

- 7 -

記憶が、ポロポロと脳髄から零れ落ちているようだ。 今日、目を覚ました僕はぼくの名前を忘れていた。 ベッドの中で蹲る。 寝室の棚の上に置かれた、埃っぽい写真立て。 その中で微笑む名前を忘れた彼女。 明日目覚めたときは、何を忘れてしまうのだろう。 人が消えた世界に取り残された、僕の心の世界も消えていく。 そして次の日、目覚めると。 僕はぼくでは無くなっていた。

- 8 -

錆びついていた時計が再び時を刻み始めていた。 縺れた糸は解けだし、 古びた迷路は一筋の道になる。 永遠のような一瞬。 音のないメロディー。 大地の記憶は今日も囁いてくれるだろうか。 大分麦焼酎 二階堂

阿呆鳥

11年前

- 完 -