真•桃太郎
キキーッ!
ドンッッ!
バリバリバリ!!
(…ああ、やっちまった)
- 1 -
俺は猿。
今回は桃太郎って奴について悪い鬼を退治するって「イイモノ」役の筈だったのに、うっかり仲間である犬の奴を引っ掻いちまった。
喧嘩売ってきたのは向こうなんだぜ?
雉の味方ばっかしやがってさ。
土台無理な話だったのさ。
犬猿の仲って言葉があるくらいなんだ。何で俺たちを同じ枠に入れる?
それに俺はな、「ワルモノ」のが向いてるのさ。慣れだよ、慣れ。蟹なんかを苛めてる方が性に合ってるのさ。
- 2 -
ほらみろ、大して痛くもないくせに犬の奴また雉にコソコソなんかしゃべってやがる。
弱い犬なら吠えてみろってんだ。
そもそも食い物を餌に誘ってきた桃太郎って奴も内心気に食わない。まぁ腹が減ってたからついてきちゃったけど。
なんの使命感に駆られて鬼なんて退治しにいくんだかさっぱり理解できないね。
本当この旅どうなっちまうんだろな。
なんだ?またお利口さんの雉が何か言いにきたぞ。
犬に謝れってか?
- 3 -
全くいやんなっちゃうわ。猿の奴も犬っころも、なんだかんだって言っては揉めるんだから。桃太郎も、自分が連れてきた責任なんてケロッと忘れて「雉ちゃん、後よろしくね」だもんね。ホント、バカばっかで疲れるわ。
でも私は違うわ。
あのバカたちのお世話も、たいして美味しくもないだんごも興味ないの。
鬼のところへ行って、ドタバタすったもんだしてる間に、お宝奪って、飛んじゃう計算。
ふふ。見てらっしゃい。
- 4 -
とりあえず駄犬とクソ猿を何とか仲直りさせておかないと!あいつらは鬼の盾になってもらわなくちゃね!ウフフやっぱり私は賢いわ
それにしてもさっさと桃太郎も鬼ヶ島に連れてけっーの(怒)
そんなことは口が裂けても言えないけどね
面倒だけどやりますか
「お猿さんも犬さんも仲違いせず一緒に鬼退治をして美味しい物でもみんなで食べましょ」と仲裁しつつお前らを出汁に何かうまい物作れそうとおもいながらも桃太郎一行は
- 5 -
鬼ヶ島に到着。
あ゛~、また来たよ人間。なんだあの「日本一」て書いた変なのぼりは。しかも、妙な動物共を連れやがって。
奴ら、ちょっと顔が怖いからってすぐ悪者扱いしやがる。人種差別で訴えるぞ。それに俺は人間なんぞ襲わなくても自給自足で暮らせるっての。ウチの生活費を勝手に持っていこうとする奴らこそ悪者じゃねーか。勘弁してほしいよな、ったく。
でも、下手に手出すと逆ギレされそうだし…どうするか…。
- 6 -
やっとついたよ鬼ヶ島。
虐待だかなんだかわからないけど生まれた直後に桃ん中突っ込まれて川流されてさ。
爺婆が拾って食おうとちょん切ったらしいけどさ。
よく考えるとマジ危なかったよな。
端っこのほうに張り付いてて良かったわー。
まあそっから早数年。
爺婆もなんだか危なくなってきたからそろそろ働かねーとなーって思ったら鬼退治じゃぁーとかいうじゃん。
あ、そう。
ファイターになれと。
- 7 -
鬼退治っつても俺喧嘩すらした事ねーのにどーすんだよ。
今更引き返す訳にはいかねーしなー。
なんかかなりめんどくさくなってきた。
あの鬼めっちゃ睨んでるし
よし!
「猿!、雉!、犬!かかれ~!」
その隙に俺は携帯電話を取り出し電話をかけた。
電話に出たのは俺の親友と呼べる…
- 8 -
鬼…
んっ?どうした?何か問題でも?
プルルルル…ピッ
「もっしーオラ、鬼」
「…あーオレオレ桃太郎…でさぁ今からお前を退治しなきゃいけないんだけど、お互いダリーじゃん?だから、やられたことにしねぇ?」
「…お前、頭いいな」
「でさぁ、調子こいて変な奴ら連れて来ちゃったんだけど…そいつら頼むわ。」
「OK(^o^)」
こうして、桃太郎は鬼を退治して村は平和になりましたとさ。
めでたしめでたし。
- 完 -
作品情報
真•桃太郎
#629
- リレー期間
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1ヶ月