The Fairy Tale For Adults

これは童話 なのだけれども 決して子どもたちには 知られちゃいけない 大人のための童話である。 おかしなはなし 矛盾してると思うだろうが なにせ大人はずっと子どもだから 童心にかえる時間が必要なのさ

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毒りんごを食べたお姫様は通りかかった王子様のキスで目を覚ましたけれど 継母達にいじめられていたお姫様にはガラスの靴を持った王子様が迎えにきたけれど この物語のお姫様に王子様は現れなかった。 ある日お姫様の前に現れたのは 王子様でも魔法使いでもなければ、魔法にかかった蛙でもない。 お姫様を不幸にしようとして王子様達に嫌われた 「悪い魔女」だった

mmww

13年前

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「あたしゃ悪い魔女さ。でももう悪い魔女には飽きたのさ。代わってくれないかねえ?」 嫌われ魔女の身の上話を聞いて 心の清いお姫様は すっかり同情したので 素直に承知した。 途端 黒い魔法がお姫様を包み込み 左手に集まって消えた。 「ほれ爪が黒いだろう。悪い事を五つするまで、その五本の黒爪の魔法は消えないよ。良い事をしたら魔法があんたを殺すのさヒヒヒ……さあとっとと悪い事をして嫌われておいでな」

Pachakasha

12年前

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そう言うと魔女は煙のように姿を消した。 お姫様は真っ黒になった左手の爪をしげしげと眺め、思案に暮れる。なにしろ生まれてこのかた、悪いことなんてしたことがないのだから。 とりあえず自室の扉を開け廊下に出てみる。すると、脇に桶を置き、床を水拭きする侍女と目が合った。 「お姫様、ご機嫌麗しゅう」 (ああ、悪いことをしなくては) お姫様は目を閉じて無言で桶を蹴飛ばして、侍女をずぶ濡れにしてしまった。

saøto

12年前

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黒爪の色が少し薄くなった。 …悪いことって案外難しいのね。とお姫様は悩んでいました。というのも先程の侍女は怒りもせず、お姫様が眩暈でも起こしたんじゃないかと心配したのです。 侍女はお姫様をベッドに寝かせ、そう時間が立たないうちに侍女が栄養ある温かいスープを持ってきました。 お姫様は一口スープを飲んだ後、こんなもの食べられないわと皿をひっくり返しました。

ハイリ

12年前

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また、ちょっと爪の色が薄くなりました。 「ひ、姫様…?まさか、毒が⁉誰かきて!姫様に毒を盛った人がいるわー!」 しまったわ、大事になってしまったわ… 姫様は今までわがままもいった事がなく、意地悪もしたことがありません。 城の人たちは姫様の体調が悪いのではないかと、心配しはじめました。 「そういえば、悪い魔女が姫様と話してるの見たよ。もしかしたら、あの魔女に呪いでもかけられたんじゃないかな?」

リッチー

12年前

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「私は魔女と会ってません。放っておいて」 姫様は嘘をつきました。 本当はどうすればいいのか助けを呼びたいのですが、心が恐怖に負けてしまうのです。 黒爪の色はまた少し薄くなります。 あと、二回。 姫様は譫言のように呟きます。 「頑張りな。手伝ってやろう」 悪い魔女が現れますと、姫様に毒リンゴを渡します。 使いの者に頼み、向かいの国の王子に渡してあげな。 震える手で姫様は毒リンゴを受け取ります。

aoto

12年前

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しかし、向かいの王子はー・・・ 姫様の恋のお相手でした。 「無理だわ・・・!!!こんなこと!!!王子を殺すくらいなら私は、こんな命惜しくもありません。煮るなり焼くなり好きにしなさい。」 姫様は涙を流しながらそう叫びました。

ちゃむ。

12年前

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姫様は持っていたリンゴを食べてしまいました。 すると姫様の爪は真っ黒に染まり、みるみる魔女の姿に変わっていきました。 姫様はその場にバタッと倒れてしまいました。 姫様が目を覚ますと、王子の顔がこんな近くにありました。 「どんな姿になろうとも、姫は姫ですよ。」 今では2人仲良くもとの姿で暮らしているそうな。 昔々あるところに 大人のみぞ知る 秘密の世界がありましたとさ おしまい

- 完 -