「おお可哀想なシンデレラ!」 「同情より金をくれ」 「私は素敵で美人な魔法使い!」 「おばさん不法侵入だ」 「おばさん?」 「おねぃさんです」 「それはさておき、パーティに行けなくて泣いているのね?」 「いや、目に埃が……」 「ドレスがあればパーティに行けるわ!きゃーすこぶる素敵!」 「話しきかないなこの人」 「よくそう言われます」 「至急改善してよ。それにぼくは男だって」
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「イマドキ、男女差別なんて時代遅れよ!」 「なんか違くない?」 「それではまずあなたを女の子にします!」 「やっぱりするんだ」 「いっきまーす。ビビデバビデ…、なんだっけ」 「ブーだろ。おば、ごほん、おねぃさん老化始まってんの」 「あっそうか、てへぺろ!」 「てへぺろとか」 「まあいいや、そーれっ、えんやこーらさっさ!」 「また無視されたのかなぼく。ていうか、えっ、わわわ…!」
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「てってれー♪ 性転換の魔法で、今日からあなたも女の子です!」 「え。ええええ、ちょっと待ってよマジ最悪…」 「うふふ!喜んでくれて嬉しいわー」 「いやいや、これのどこが喜んでるように見えるんですかね」 「えっ?可愛いドレスが着たいですって?」 「言ってねぇよ」 「じゃあ、おねぃさん、ふんぱつしちゃおうかな〜」 「しないでください。てかマジ勘弁」 「えー、スーツの方が良いの?」
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「そういう意味じゃ──」 「あ、そぉれ!エクスピアリ ドーシャス♡」 「ちゃんと唱えんな馬ッ鹿」 「いまバカって言ったかな? ニコッと殺すよ⁇」 「…ぃいいええぇ……ッス」 「そこ肯定する⁉︎この下衆の極み‼︎」 「いま奇しくも乙女です」 「…チッ。まあ良しとしましょう。それよりどうかしら。スーツもなかなかでしょう」 「完全にタカラヅカじゃん」 「男役よ」 「女にした意味!」
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「じゃあ次はガラスの靴ね!」 「話聞けおばさん」 「おねぃさんです」 「スーツでガラスの靴っておかしいでしょ?」 「おかしくなんかないわ!それに、いつの時代だって最先端のファッションは常人には理解されないものよ」 「そういう問題なのかなー?」 「んもう!つべこべ言わずに早くガラスの靴を履いてちょうだい!」 「わかりました、履けばいいんでしょ履けば。…やっぱどう見てもおかしいでしょ」
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「うーん、そうねぇ…。私が目指してたモノとは違うわね…」 「何を目指してたのか教えてくれないの?」 「私が目指してたモノ…それは‼︎」 「それは?」 「………」 「………」 「……か、かわいい…男の娘……?」 「何、さっきの沈黙。しかも今考えたでしょ?それに、男の娘を目指すなら性別変えた意味ないよね、おばあさん」 「おねぃさんよ」 「…それは即答するんだ…なんか、もういいよ……」
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「あなた諦めたらダメよ。人生諦めたらそこで試合終了よ。」 「試合終了って俺はバスケットボールの選手か。」 「あなたちょっと何言ってるか分からないわ。」 「なんで分かんねんだよ。まあ良いよ。シンデレラならカボチャの馬車出してよ。」 「あらそうよね。カボチャね。ホンジャラホンジャポンポンポン。」 「凄い、本当に馬車が。ってこれカボチャじゃなくてカボスの馬車じゃん。小さ過ぎて中に入れない!」
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「うーん、これじゃ乗れないわね」 「もう諦めましょうよ」 「そんな時は、ピコピコピコ!◯モールライト〜」 「最早魔法じゃねえ!それ以前に著作権、著作権!」 「細かいことは気にしちゃ駄目よ」 「いや、細かくねえよ」 「煩いわね〜。えい、ポチッとな」 「わ〜小ちゃくなっちゃった!って、◯ギー審司かい(古いぞ)」 「あら可愛い。親指姫と名付けようかしら」 「とうとう作品が変わった!?」
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「ほら、着いたわよ!ほら、体も戻した!」 「なんかめっちゃテキトーなんだけど!」 「ちゃんと12時には戻ってくるのよ。じゃないと…」 「じゃないとなんだよ⁈」 「おじいさんになってしまうの‼︎」 「それ浦島太郎じゃねーか‼︎」 「ちっせえヤツだな」 「逆ギレ⁉︎あー、もう行きますよ」 「あっ!ちょっと待って!」 「なに⁈」 「会場間違ってた‼︎」 「はぁー‼︎」 「怒ったら、ダメヨ〜ダメダメ」
- 完 -