主人公 中村俊希役 楠木梓(3年、映画好き) 友人 神原正人役 神田圭太(2年、野球少年) 片想いの相手 森山夏鈴役 黒沢真昼(3年、ぶきっちょ) 部活仲間 明石未亜役 三崎風夏(1年、平和主義者) ……以上、4名が抜擢された。 なお、役のキャラは自由に決めていいものとする。
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昼休みの掲示板の前では人だかりができていた。今年の舞台の配役が発表されたらしい。 「まあ、私には関係な…」 「ちょっと真昼!あんた選ばれてるよ、しかもヒロインに!」 「…え?」 友人に引っ張られていくと、一気に注目を浴びてしまった。覗き込んだ掲示板には、確かに私の名前がある。 「嘘だ…」 何で、ぶきっちょで演技経験のない私が抜擢されたんだろう。 隣に同じように訝しげな顔をした男子がいた。楠木君だ。
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「演劇よりも、映画の方が面白いんだがな……」と、当の楠木。 「ええっ?!」 いや確かに、楠木君の映画好きは校内で有名だから、私でも知っている。掲示板にも、その手の評論(大抵は辛口の論調が多い)が貼り出されているのを観たことがあるけど、アレを演技なんかに持ち込まれたらたまらない……そう思ったことも事実だ。 「楠木が主人公? どんな舞台になるのかしら…………」 そういう声も聴こえてきた。
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ウチの高校には演劇部が存在しない。だから学園祭の時だけ実行委員から無作為に選ばれた生徒が劇に強制参加させられる。 有志の脇役参加は自由だ。 昔は何らかの基準があったのかもしれないが、今や全校生徒を対象にしたクジ引きで決まるというランダムっぷり。 それが毎年恒例で学校の名物と化しているから困ってしまう。 私と楠木君の3年は、率先して後輩たちに声をかけないと。 放課後、四人で顔合わせすると決まる。
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私たちは使っていない教室で集まることになった。しかし神田君と三崎さんが現れない。 「神田は野球部の練習だな。1年はこの劇のことを知らないんだろ」 楠木君は淡々と述べたけどこれは良くない。劇は毎年人気がある。失敗したらあとからどんなことを言われるか…。 「楠木君は別館を探して!私は本館ね!」 私は本館の1年の教室に走った。 そして静まり返った教室の一つで神田君と三崎さんのキスを見た。
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