湯浴みして 長雨の髪を 月で梳く
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愛は散り 彼は過去 懐かしの歌 今は絶え果て
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秋の夜に 月はなくとも 手探りで 彼岸花辿れ 夜の果てまで
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気づけば溶けた 秋の記憶の 抜け殻だけを 抱いていた
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濡れた目の 閉じた瞼の裏側に 咲いた花火と君の影 一つ弾けて一つ散り 二つ弾けて二つ散る
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翳す手のひら 透ける孤独 輝きし月 桐の一葉
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星のキャンデイをつまみとる 冷たい 独りの夜長 蟋蟀と遊ぶ
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明けぬ夜 夢の終わりに 蜉蝣の君 涙流れ 星流れ
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明けぬとも せめて"ひとよ"の 逢瀬あれ この身は流れど 想いは逆らふ -名残-
- 完 -