《架空読書会のお誘い》 実在しない本のタイトルをテーマに、空想から感想、批評、考察を論じる。その様な企画があるそうで、楽しそうなのでこちらでもやってみたいと思いました。 ルールは、他の人の話を否定しないこと、だそうです。 (例:Aさんが〝猫の死が悲しかった〟と言ったのに、Bさんが〝猫は死んでない〟などとするのはNG) 今回の架空書架は 『モカチップミントの包装紙』
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『モカチップミントの包装紙』 イガサ・ケリスティーの代表作である。 ドイツの港町キールを舞台にしたミステリーで、シュトラッサー・シリーズの第1作でもある。 ホテルブラウにて起きた連続殺人事件。被害者には外傷はなく検死によって全員が死亡前日にクッキーを食べていたことが判明する。クッキーの製造元も10年前に潰れており、手がかりは一切ない。 個人的にはシュトラッサー警部補の推理シーンが一番好きである。
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シュトラッサー・シリーズ、春に公開された映画は見たのですが小説を読んだのは初めてです。面白くって8巻まで一気読みしましたよ〜。寝不足気味です(笑) 映画と小説で法医学者のデボラの性格が全く違っていて驚きました。私は小説の方が好きかな。優秀な科学者って感じが出てて。映画の方は少し陽気すぎる気がします。 BBCで放送されたというテレビドラマシリーズも気になっています。CSに加入するか検討中…。
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推理ものが好きで、イガサ・ケリスティーの著書もほとんど読みました。 中でも本作は、単純ながらも巧妙なトリックと、意外すぎる犯人に驚かされ、とても面白かったです。 シュトラッサー警部補の部下、ムノー刑事同様「製造元が10年前に潰れてるって、完全に食中毒じゃね?」と思ってしまいましたが、そう簡単に解ける謎ではありませんでしたね。 地上波でのドラマ放送に期待です。
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二度目の読破。やはりいい。 何がいいってまず、イガサ・ケリスティーの著書は台詞回しがいい。 「クッキーはクッキーだが、クッキーではない。しかしクッキーはそもそもクッキー」 というネイビィ夫人の台詞、あれはもう教科書に載っていてもおかしくはない。 私が個人的に好きなのは物語中盤。シュトラッサー警部がホテルで迷子になるシーンは何度読んでも面白い。 是非劇場版も宜しくお願いしたい。
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原点にして頂点と名高い本作。だが、私は敢えて言おう。 これは凡作である。 個性豊かな登場人物、鮮やかに回収される伏線、独特の言葉回し。確かに推理小説としては素晴らしい。しかし、ここにはイガサ氏の良さが半分しか発揮されていない。 氏といえば、さりげなく盛り込まれた社会風刺、読者に委ねられる結末に付随するモヤモヤした読後感がウリでは無いのか。私が氏に求めるのは定石を踏んだエンタメ小説ではないのである。
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普段あまり本を読まない私でも、イガサ作品は面白くてサクッと読めます。特に本作はハード・文庫共に買ったくらい、大好きな作品です。 シュトラッサー警部補が推理で犯人を暴いた後、毎回犯人に対して「私があなただったら…」に続いて、捕まらないパターンのシナリオを語りますが、いつか警部補が完全犯罪を起こしてしまう気がしてなりません。 所々に警部補が怪しげな伏線を醸し出すので、今後の展開が楽しみです。
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『そして死神もいなくなった』、『重力クラブ』、『オーデュボン殺し』の三作を読んだ後に、この著作にありつきました。 イガサ・ケリスティーの魅力って、私はキャラクター造形にもあると思うんです。一人一人が個性的で、ディテールもしっかり作り込まれている。 だから、誰が犯人になってもおかしくないと思わされてしまう。ここぞという時に使われる台詞も味が出ているんです。 次はどの著作を読もうかな。
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デビュー作からずっと追いかけているファンです。 イガサ・ケリスティーさんといえば筆が早い方ですが、この作品が出るのは遅かったので、首を長くして待っていました。 殺人現場から始まるこの作品。 トリックの解明よりも人間の思惑にフォーカスを当てている辺りが作者らしいですね。登場人物の会話が軽快で、勧善懲悪の要素が強いこともあり、楽しんで読めます。 推理小説が苦手な人にもオススメしたいです。
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