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朝のラッシュで混み合う駅のエスカレーター。 俺の目の前には、ラッキーな事に制服のスカートをロールアップして超ミニスカにしたJKのお尻がある。 一段空けて下に乗ってれば、完全に中を拝む事ができたのに。悔やまれる。 と、思った瞬間、JKのスカートの中から、ポトリと何かが落ちた。 ピチピチとそれは彼女の足の間で跳ねていた。 なんだ、シシャモか… シシャモ? えっ?…ししゃも? シシャモだと⁈

真月乃

12年前

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じゃあ…これが巷でウワサのシシャモ娘か? 俺っていったいどこまでラッキー‼ 最近、週刊誌やワイドショーで話題になってるだろ、シシャモ娘。 初めて聞いた時は、ウソだろ⁈って思ったよ。 そんな事があるわけない、あるんなら一度お目にかかりたいよ、って同僚と笑い飛ばしたさ。 でも、そのウソだろ⁈が目の前にいるんだ。 俺はこのチャンスを逃してなるものか、とそこに向けて手を伸ばす…ドキドキ…

Noel

12年前

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しかし。 ガシィィッ‼ ノロノロしていた俺よりも先に、そのシシャモを右側から、しかも箸で掴み取った用意の良い奴がいた。 なんて速いんだ! ばっと横を向いたら、そこに居たのはシシャモ娘と同じくらいであろう年齢のJKであった。 「俺が最初だ!」 「はっ、吠えてろ負け犬が!」 そこまで言われるとは、思ってなかったぜ…。 「私はシシャモ娘について調べ上げ、この日のために準備してたのさ!」 …執念だ。

harapeko64

12年前

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俺が潔く負けを認めてうなだれた瞬間、銀の光が俺の目と鼻の先の空間を一閃して切り裂いた。 「うおっ!なにしやがる!」 勝ち誇っていたJKの顔が驚愕に歪み、箸とししゃもは宙を舞った。ナイフとフォークが硬いゴムの床に深く突き刺さっている。 「甘いデース。そのししゃもにどれだけの価値があるのとおもてまスかー。それは我が母国に持ち帰らせてもらいマース」 流れる手すりに紳士が立っていた。 色んな意味で危ねえ。

nanamemae

12年前

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すかさずJKが紳士に躍りかかる。紳士はひらりと身をかわすと、隣りの下りエスカレーターに降り立った。 「待て、バテレン野郎!」 JKも手すりを飛び越え紳士を追う。下りエスカレーターを駆け下りる二人を呆然と見送った俺は、己の無力に失望して足下に視線を落とした。 ポトリ。 シシャモ娘のスカートから、また何かが落ちた。ピチピチと跳ねるそれの腹部はプックリと膨らんでいる。 「こ、子持ちシシャモだ…!」

hayayacco

12年前

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俺のつぶやきを聞いたか、子持ちシシャモの跳ねる音を聞いたか。 エスカレーターにいたハンター達が一斉に反応する。空気が変わる。汗が垂れる。 「待て!」 遥か後方から男の野太い声がし、波動が渡る。激しい戦闘をしていたJKと紳士と焦る俺、揃って萎縮してしまう。

nono

11年前

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「そのシシャモを渡して貰おう」 威厳のある低い声で彼は言った。華麗に着こなした黒いスーツにシルクハット。1mを超える、恰幅の良い体。胸の黄色の蝶ネクタイは、彼が他のそれとは種類が違う事を示していた。 周りの乗客は既に退いている。彼は悠然とシシャモに歩み寄り、パクリと嘴に咥えた。 「シシャモ娘のシシャモは格別だからな」 「こ、皇帝ペンギン様……!」 紳士が青い顔をして呟いた。

Felicia

11年前

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その時である。 「何でお前みたいな鳥頭に、子持ちシシャモを渡さなきゃいけないアルか!」 皇帝ペンギンと呼ばれた男に、後ろから炸裂した蹴り。男はその衝撃に、嘴からシシャモを落とす。 「三歩歩けば、シシャモのことなんか忘れるアル! 分かったらとっととお家に帰ってママンにでも甘えればいいネ!」 少女は得意げに笑った。の、だが。 その拳にはシシャモ。 「ああ、そんな力強く握りしめたら……!」

Nakahara

11年前

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案の定、ぶしゃあああああああっと梨汁よろしくシシャモの体が弾け飛んだ 「ああ!しまったネ!!貴重なシシャモだったヨー!!」 少女は皇帝ペンギンと呼ばれた男を睨んだ。 シシャモを握りつぶしたのは間違いなく少女なのに…… 「ふっ。言いがかりはよしてくれ。君こそ私のシシャモをよくもこんな風にしてくれたな…」 「お前のせいアルよ!!」 JKと紳士に引き続き皇帝ペンギンと少女の闘争が始まった……

ユーリ

11年前

- 完 -