クリスマスムードの街。 モールで彩られた店先。 きらびやかなBGM。 俺は女の子と肩を並べて歩いている。 なんと理想的な状況だろう。 隣に居るのが実の妹じゃなければ。 今日は12月の初めの日。 妹がクリスマスに彼氏へプレゼントする品物を選ぶらしく、それを手伝えと言われ 俺は貴重な週末が潰される事となった。 馬鹿野郎。一人で行け。 妹曰く「男の人の意見も欲しいじゃん!」 知るか。
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第一俺は彼女なんていたことないし、 なぜ妹の彼氏のためにプレゼント選びを手伝わなければならない‼ こんな【クリスマス感】のあるところで なにがかなしくて妹とともに街をはいかいしなければならないのだ‼ 、、、とは思いつつも、 俺の妹は可愛い。 はたからみればカップルにもみれるのだろうか。 やばい、おもわずにやけてしまった。 なんて日だ‼‼
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やばい、もろバイキング感がでてしまった… まぁ、そんな事は置いといて やはりクリスマスが近いせいかどの店も賑わいを見せている ふと目の前を歩いている妹がチラっと俺を見るなり白いお店に入っていった はぁ… 「はいはい、付き合えばいいんでしょ」と心の中でボヤきながらお店に入っていった妹の後につづいた
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そこは男の俺からみても美しく、ロマンチックな場所だった。 ふと妹が俺の方をみて微笑む。やはり可愛い。 何を買うつもりなんだろうか?そんな俺の疑問に答えるように「お兄ちゃん!これ!ここのハンカチがいいと思うんだけど。柄が決まんないの」 ここで文句を言っても仕方が無い適当に選んで早く帰らせてもらおう。 「この青いのとかでいいんじゃね?」 「ふーん。お兄ちゃん本当にこれが欲しいの?」
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「あのさぁ。彼氏にプレゼントするんだろ? お兄ちゃんが欲しい物聞いてどうする」 ウルっ。妹の目が急に泣きそうになる。 やべっ。言い方きつかったか。 「あの。えっと。この青いやつだと彼氏さんもシンプル柄で持ちやすいからいいと思うな」 そうかな〜でも、こっちのパンダ柄も可愛くない? きゃあきゃあはしゃぎ始めた。ハンカチ一枚ごときに、こりゃあ1時間はかかりそうだ。 彼氏さんも幸せだな。
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「よっ!お前も彼女とデートか?」 やべっ、こいつに妹と買い物なんて知れたら... 「ま、ま〜な」俺!何言ってる⁈ 「お兄ちゃんやっぱり私このパンダ柄にする」妹よ〜このタイミングで! 「お兄ちゃん?」 「い、いやーあいつまだ学生だから俺の事お兄ちゃんって呼ぶんだ」あーまた嘘ついた。 「そうか、それにしても彼女、可愛いなぁ〜」頼む早く消えてくれ! 「で、何処で知り合ったの?」 えー、聞くの?
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「何処でって…お前。そんな大昔のこと聞くなよ。」 「大昔?」 「…ああ。俺たちは乳飲み子の頃からの仲なんだよ。」 「へぇ、幼馴染的な?」 「まっ、まあな」 「お兄ちゃ〜ん! パンダ、パンダ、パンダ!」 「ったく。パンダ、パンダ、うるせ〜な。 わるい、あいつ、うるさいから俺行くわっ。」 「あっ、ああ。またな。」 やべっ、俺、チョーカッコ良くない? 妹と買い物もいいもんだ。
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妹との買い物を無事終えた俺には「クリスマス」という行事が残っていた。 別に友人と適当にダベって少しはしゃぐぐらいがちょうどいい。そんな風に考えていた俺は甘かった。 「わりぃ…ちょっと彼女との用事があって…」 これで3人目。そうか、俺は独りなんだなー。わざわざ「デート」と言わない友人の配慮がそれを強調させた。 いつも通り迎えたクリスマスの朝。枕元にはプレゼント。 いつか見た青色のハンカチだった。
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「まさかな…」 急いで食卓に行くと、朝食の支度を終えた妹が笑顔を抑えんばかりに待っていた。 「メリークリスマスッ!お兄ちゃん」 わァァァムカつくほど可愛いなぁおぃ! 「これ彼氏のって…俺へのだったのか?」 元気よくうなづく妹に自然と俺は微笑んでいた。 こんな日も登校日の俺達は寒空の下、家を出た。 腕に抱きつく妹とつい視線が絡んでしまう。 「ありがとな」 妹が優しくうなづく。 「メリークリスマス」
- 完 -