デスメールの不幸

メールが送られて来た。 送り主は不明だ。 【お前は死ぬ。 死にたくなければ、今日中に誰かにこのメールを送れ。 その代わり、送られた奴は、死ぬ。】 これ、本当の話? ん? 続きがある。 【『デスメール』スタート。 残り12時間30分59秒】 時間がどんどん減っていく。 やばいな。 どうやら、面倒臭い状況になったようだ。

仏もどき

12年前

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もちろんこんなのはタチの悪い冗談だといって無視しておくことも出来たのだが、絶え間なく減り続ける残り時間が妙に気に掛かった。 とは言っても…本当に誰かに回して、『うわっダッセー!こんなメール信じたのかよ!!』とか笑われて噂にでもなったら、積み上げてきた俺のダンディなイメージが崩れてしまう。でももし本当だったら…? とか何とか考えている間に、気付けば残り10時間。 どっ、どうしよう……

nonama

12年前

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いや…だが待てよ。この手のが好きな奴が一人いたな。奴だったら、俺がこれを堂々と送っても笑って許す、いや、むしろ喜ぶかも知れん。それに、よく考えてみろ。万一、これが本当の呪いメールだと仮定してだ。送った先の奴がまた誰かに送れば、そいつも助かる。その先の奴がまた送れば、そいつも助かる。 …。 何だよ、結局助かるのか、そう思うとそれはそれでつまらんな。 よし…送ってみるか? 送って… いや…待てよ

真月乃

12年前

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もしも、もしもだ。 もしも企業の総合受付センターのメールに送ったとしたら? その企業は死ぬ…つまり倒産するのか? もしも国のメールに送ったら、国が崩壊するのか? これだけネットが普及している現代、メールアドレスの所有者は個人とは限らない。 この『デスメール』がもしもリアルだとしたら、その『死』はどれほどの威力を持つものなのか──俺は想像して身震いした。 …て、おい! もう残り6時間!?

Pachakasha

12年前

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「あーーーーどうしよーーーー。。。」 送らないと何も始まらないと思い、 友達の大輔に送ってみた。 To:大輔 件名: 無題 ーーーーーーーーーーーーーー 元気か?? それよりさ、またチェンメールみたいなの 回ってきたんだけど、お前に回すな。 じゃ。 【お前は死ぬ______________ __________________________。】 「...俺って最悪だな。」

12年前

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次の日、いつものように学校に登校する。まさか、とは思うがさっきから嫌な予感がする。 「大輔君が亡くなりました」 担任の口からでた言葉が頭の中で反響する。俺のせいなのか?ただのチェーンメールで何故人が死ぬ? 不意にメールの着信音が鳴る。なんだこの胸騒ぎは。恐る恐る見ると From:大輔 件名:無題 【お前は死ぬ__________________________】 どうなってるんだ…!

fusuke

12年前

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しかも残り時間は三分しかなかった。 「ウッ、ウワアアッ!」 すぐに転送しなきゃ。殺される。でも誰に送る? アドレス帳にざっと目を通す。頭の中で声が響く。誰でもいい自分が死ぬんだぞ早くしろ! 「おい君、何を堂々と携帯使ってる! しまえ!」担任が怒鳴る。「聞いてるのか!」担任が俺の席までやってくる。俺の手から携帯を引ったくる。 「ウギャア! 何すんだテメェ返せ!」 俺はもう一度大輔にメールを送るんだ!

fly

12年前

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ああ! 罵ればいいさ! 俺は最低な男だよ! 2度も殺そうとしてんだからな! 「 オ、俺はまだ死にたくねぇ!」 もがく俺の手が担任の顔面に直撃し、担任の手から買い替えたばかりの携帯が滑り落ちる。 カッシャーン スローモーションでそれは目の前で起きた。ゆっくりと落下したそれは画面が真っ暗になった。それと同時に俺の目の前も真っ暗になる。 もう間に合わない。最低な俺にはお似合いの終わり方だ。

天野そら

12年前

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気が付くとベッドの上だった。そうだあのメール。ん?俺,死んでない。時計を見ると1時間は経ったはずなのに。 「おい大丈夫か?」 そこには死んだはずの大輔がいた。 「お前死んだんじゃ…」 「あぁ,あれは嘘だよ。俺に"友達を信じる?"っていうメールが送られて来て,面白そうだったしやってみたんだ」 「じゃあ,あのメールは」 「そう,俺。そしてお前は俺を殺そうとした」 俺はデスメールで1人の友達を失った。

奈阿姦

12年前

- 完 -