これが俺の日常だ。

今日もだらだらとした放課後に退屈を覚え始めていた俺は暇潰しに校内を回って見ることにした。 一応これから8人の友人にあって行くつもりだが、本当に一人一人会えるんかい とりあえず 冨岡 大樹 河内 裕二 谷川 咲 上川 拓也 益田 麻音 小林 真紀 安達 沙彩 植松 悠人 はてさて、まずは冨岡のC組だな。 俺はとりあえず、それぞれをショートストーリーに各パラグラフごとにわけて書くことにした。

Air

12年前

- 1 -

冨岡の霊感が強いのは、小中でも有名だった。地元が同じ奴ならみんな知ってる事実だ。要するに、ものすごく嘘がうまい。嘘のつじつまを合わせるのも人を惹きつけるのもかなりうまい。冨岡が見た目に気を使いはじめた今、もてはじめるのも時間の問題だ。「ガタン!」c組の戸を時間通り蹴ると中から女子数人の悲鳴と共に冨岡の「あ、いるな。」の声が聞こえた。俺は、戸を蹴るだけで女を手に入れられる。持つべきものはトモ。

zeni

12年前

- 2 -

次に谷川咲に会おうとした。 実を言うと俺は彼女の事が気になっていた。 クラスは違うが同じ部活動でよく喋るようになってだんだん意識しはじめた。 今日は部活動が休みで寂しかったと言う気持ちもあったのだろう。 俺は緊張していた。 彼女の教室の前で深呼吸をして、それから勢いよくドアを開いた。 「・・・」 そこには谷川咲と谷川咲と見つめ合う河内裕二の姿があった。 俺はドアを静かに閉めた。

utumiya

12年前

- 3 -

次に俺は図書室に向かった。図書委員の上川拓也に会うためだ。 ぱっと見は地味で冴えない奴だからあんまり女受けはよくない。 でも、上川は優しくていい奴だ。委員長を押し付けられても真面目にやるし、マジメぶって……なんて下らない女子に嫌味を言われても言い返したりしないし、その真面目さを捨てたりもしない。 俺がちょっとバカっぽい本を持ってっても、決してバカにせず「いいチョイスだね」なんてコメントをくれる。

nanamemae

12年前

- 4 -

残念ながら図書室に上川の姿は見つけられなかった。 しかし、一番手前の席に益田麻音が座っていた。手間が省けたと前の席に自然に座ると、益田が顔を上げて本を勢い良く閉じてしまった。 「み、見た?」益田は文学少女の割に明るい性格で俺とも気が合う。が、今見たものは何かの間違いだ。 「ジェノサイド」人が殺されまくる話だ…かなり猟奇的な趣味を持っているようで。 「見てない見てない。これ、借りてだ本。ありがとな」

yuta

12年前

- 5 -

さて、次は小林真紀だ。彼女は生活委員であり、またお嬢様だ。家が金持ちというわけではない。だが、艶のあるきれいな黒髪、やや下向きのまつげ、淑やかに口を隠す笑い方……と、俺の友人である植松悠人から絶大な支持を得る女子である。そして何故か俺は植松からラブレターを渡すのを頼まれた。 3階の廊下で捕まえた小林にそれを渡すと、白い顔がより一層白くなった。

りすた

12年前

- 6 -

小林は静かに封筒を見た。だが、端に『植松』と書いてあるのを見るなり、俺に無言で突き返してきた。そして彼女は、俺の顔を見て赤くなりながら去ってしまった。 「?」 訳も分からず棒立ちしていると、 「全く、何やってんだか」 「うわあっ!」 驚いて振り返ると、安達沙彩が腕を組んで仁王立ちしていた。 「アンタ、真紀の事何も分かってないのね」 「⁇何が?」 「…いや、何でもない。聞いた私がバカだった…」

hyper

12年前

- 7 -

「なんなんだ…?」 突然安達が現れていきなり怒られた。ワケが分からん。 小林もどういうつもりなんだ…手紙を読みもしないで俺に突き返すなんて…。 植松の名前を見ただけで拒否したって事は、よっぽど植松の事が嫌いだったのか? (はぁ〜、植松になんて言おう…とりあえず、この手紙は植松に返した方がいいだろうなぁ) 植松はまだ教室にいた。 「あ〜、植松、あのさ、小林が手紙受け取れないってさ…はい、これ」

マーチン

12年前

- 8 -

植松は溜息混じりにそれを受け取った。 「だよな、わかった。お前が羨ましいよ」 意味不明な台詞を言った植松は、俺と夕焼けの屋上に出た。 夕刻を過ぎた空が燃えるように天を貫いている。 屋上では先程までの面々が各々の方向へ帰っているのが見えた。 「やっぱ日常が1番だよな」 「だな」 今日もまたいつもの放課後だった。 友人もいつもの場所でいつもように話した。 この日常はやっぱり、 また明日も続くのだろう。

12年前

- 完 -