どうして、女子は集団をつくると、その中で仲間外れを作らないと気がすまないのかしら。 私はグループの中からそんなことをおもった。 みんなが普通に仲がよければそれでいいじゃない。 どうして、18にもなってイジメみたいなマネをしているのだろう、私達は。

リッチー

12年前

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人の不備を見つけてはその人間を見下す。 いや、誰かを見下したいがために 人の不備を探すのだ。 自分は他人とは違って特別なんだって思いたいのだ。 誰かの不備を嘲笑うのは、自分はこんな不出来な人間なんかじゃないと思いたいのだ。 そう。私も結局 そういう汚い人間なの。 だけど。今、目の前でいじめられている彼女を救いたいと思ってしまった。 自分の中の矛盾に困惑。さてどうしよう。

aoki

12年前

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今日も彼女は虐められる。 救いたい、もうその気持ちは否定出来なくなっていた。 でもさ…… 今もグループにいるようで居ない彼女。 話の輪に混ざれずに黙っている。 肩にかかる位の長めの髪が 彼女の顔を、表情を、隠してしまって盗み見る事が出来ない。 前に見た彼女の目は不思議な色を灯していた。 濁った強い光というか、……表現し難い。 あんな光を持った、 彼女と少し話をしてみたくなった。

Nitro.

12年前

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そんなある日の朝、私はたまたま通学路で彼女を見かけた。 運よく、周りには誰もいない。私はチャンスとばかりに、彼女に声をかけた。 「おはよ〜」 「…」 彼女はこちらを見向きもしない。 でも私は諦めなかった。 「いつもこのぐらいの時間に来るんだ〜。私も丁度この位かな。何処住んでるの?私はね〜…」 「…私に近づくと、貴方も虐められるわよ」 彼女は正面を向いたままそう言うと、そのまま去ってしまった。

hyper

12年前

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そう言われるかもしれないと思った。 それでも私は諦めない。 周りにどう思われようと、私は私が決めた道を進むだけ。 移動教室のあと、彼女が1人の隙を見てまた声をかけてみた。 「ねえ、さっき先生に頼まれた仕事があるんだけどさ、ちょっと手伝ってくれない?」 「さっきから急になんのつもり?」 と冷たく返されてしまう。 そうか、急すぎたかもしれない。 自分でも怪しいと思う。 次はどうしよう。

Sjong

12年前

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昼休みになり、グループの皆で丸く輪になりお弁当を食べる。彼女も気まずそうに端のほうに座っている。 「今日は嵐が…」 「タレントのナントカが…」 彼女を虐める主要メンバーは既にお喋りに興じていた。 私はさりげなく彼女の隣に座った。彼女は驚いたような顔をして私を見上げる。 「隣、座っていいかな?」 「………勝手にすれば…」 思いっきり警戒されているようだ。大丈夫、私はあなたの味方だから。

物見遊山

12年前

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「一人で寂しそうな人と仲良くしてあげる私ってスゴイとか、そういうこと?」 鋭い目線で、毒舌を放ってはいるけれど、彼女の頬が少しだけ色づいているのを私は見つけてしまった。 「ひどいじゃない。そういう見透かした態度はよくないよ」 「じゃあ、図星なんだね」 「図星ならばこんなことはしない。桜井さんもっと人に気を使うことのできる人だと思ってたのに」 「落胆すればいいよ」 彼女はご飯を箸で摘む。

aoto

12年前

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「ふーん。じゃあそんな桜井さんに問題。友達とはなんでしょう?」 私は、彼女の濁った目を見てそう言った。 「あなた、なに考えているの?」 「別に、ただの質問。」 「……一緒に話して、笑うとか、そういうものでしょう?」 「ざーんねん。不正解。応えはね…お互いが認め合うことができる人のことをいうんだよ?わかった?」 「さっきから、なにを言っているの?意味わかんないわ。」 彼女は、訝しげにそう言った。

SANA

12年前

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「私も友達なんていないんだ」 桜井さんの傷んだ髪やその下のぬるりとした目を盗み見た。 悲しみや苦労でくすんだ肌は彼女の若さを奪っていた。 「そんなこと言ったら友達がいなくなるわよ」 「あんなの友達じゃない。桜井さんは私を信用してないね、こうしたら信じてくれる?」 彼女を虐めていた主犯格の女の頭に飲みかけのコーラをかけた。 時間が止まった。 さぁ、これからどうしようか?

yuni

12年前

- 完 -