謹賀新年ブラザーズ
ヒャッッッッッッホゥゥゥゥゥゥゥ!
謹賀新年んんんんんんんんん!!!
あけましておめでとうございます。
- 1 -
イかれてる。完全にイかれてる。
新年早々どうしたんだ?はっちゃけ過ぎだろ。
この年賀状が他の人からのなら流せたかもしれない。
だが、この頭のネジが一つ二つ吹き飛んだ年賀状を送ってきたのは、超真面目で現在マサチューセッツ工科大に通うの兄貴なのだ。
あり得ない。一体何があったっていうんだ?
心配になった俺は、単身アメリカへ渡ることにした。
- 2 -
しかしだ。アメリカに渡ると言ってみたはいいものの、俺には問題がひとつあった。
飛行機が、怖いのである。
なら船は?と思うかもしれないが、残念なことに、俺は船酔いがすごい。スワンボートでさえ無理なのだ。そんな俺が、アメリカまで太平洋横断なんてできるわけがない。
俺は頭を抱えた。兄貴の安否がものすごく気になる…しかし、こればかりはどうしようもない。
そのときだ。俺はひらめいた。
電話だ。
- 3 -
なんてすごい世界なんだ!
俺は途方もない事実に気がつき、勘極まって鼻のすじをつまむ。
日本からアメリカまではうん千キロ。
32.195キロを三十本かける何回なんだ!
俺には到底無縁なその距離をひょいと電波は飛び超えてしまう。
こんなすばらしい文明の力を使わずしてなんとしよう。
早速俺は携帯電話をぱかりと開けた。がその画面は真っ黒。
そういえば…この間落として壊れたことに思いいたり、俺は愕然とした。
- 4 -
そうだ、友達に携帯を借りればいいんだ!
電源を入れ……
ってだから!
その連絡手段がないんだってば!
そうか!公衆電話だ!
俺は自宅を飛び出し、家の近くにある公衆電話に飛び入ると、十円玉を入れた。
しまった……。
電話番号が分からない…携帯なら連絡帳に書いてあるのに…!
俺は受話器を下ろし、返金ボタンを押した。
しかし、金は戻ってこない。
……壊れている…だと?!
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こんな時は、パソコンだ!
Skypeで、安否の確認、声が聞ければいい!
パソコンを開いて、電源を入れる。
まずは、IDだ‥。
繋がるかな‥。
どうか無事でありますように‥。
Skypeは、何故か、以降に繋がらない‥。
兄貴どうしちまったんだ‥!
- 6 -
落ち着け、まずは落ち着くんだ。
何かあったというわけじゃない。ただイかれた手紙が届いたというだけだ。
ん?下の方に小さく何か書いてあるぞ?
えーと……彼女ができました……。
くそっ、わざわざ自慢してきやがって!
衝動的に手紙を破り捨てる手を必死に止める。
ん?まだ何か書いてあるぞ?
明日のご飯は塩です……。
いやいやいや、ちょっと待てよ。
塩はご飯じゃねーだろ!?
- 7 -
俺は頭を抱えた。
よし、深呼吸だ、深呼吸。
電話はダメ、パソコンもダメ、直接会いに行くのもダメときた。
しかし、どうにかして安否を確認しないと!
こうなったら、アレしかない…と俺は思った。
そう、手紙だ。
ちょいとばかり時間はかかる。が、手紙に手紙を送り返すのだから、変なことじゃあるまい。
俺は震える手でペンを走らせた。
『ヒィッッッッッハァァァァ!兄貴ィイイイイイイ!!
元気ですか?』
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続きは……
何があったか確かめないと。
なんと切り出せば良いか……
やはりこっちも近況は報せるべきか。
しかし兄貴の様なハッピーな報告は
俺にはなかった。
『実は俺も彼女出来たぜヒャハアア☆』
悔しいから嘘を吐いた。
帰省のため帰国した兄貴に会って
分かったが、あのハイテンションは
ただ兄貴がアメリカナイズされただけだった。
我が家は平和な正月を過ごした。
彼女の件はお互い嘘だった。
- 完 -
作品情報
謹賀新年ブラザーズ
#11629
- リレー期間
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1年10ヶ月