おや? 随分と早い御到着ですねぇ… そんなにこの事件にご興味が? え?はいはい、そんなに急かさなくても説明しますよ、まったくもう。 無くなったのは奥様の大切なネックレスです。ダイヤをあしらった1億円相当のものだとか。 そのときお屋敷にいた方々です。 ▶︎旦那様 ▶︎執事・セバスチャン ▶︎長女・ドロシー ▶︎長男・ベン ▶︎愛猫・ミリー どの方からお話を伺いますか?
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*長女・ドロシー* お母様のネックレスは世界一なの! でも大事なものだからって私にも触らせてくれないのよ、ひどいわよね 聞いたわあなた探偵さんなのでしょ? ふぅん…そんな風には見えないけどね …え?昨日の私の行動を教えて欲しい? まさかあなた!私を疑っているんじゃないでしょうね!!冗談じゃないわ!!! 私は昨日ベンとずっと一緒にいたわ! そんなに言うならベンに聞いてみなさいよ!!
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✳︎長男・ベン✳︎ 母さんに言ってよ、鞄は探したかって。些細なことですぐ騒いで…実際に盗まれた? そう…。 …ええ、ドロシーと一緒でしたよ。 …時間? 彼女はなんて? …やだな。僕が時計を気にする性格じゃないってだけですよ。 …一日中!? あ、いえ、彼女が言うならそうです。ほら、トイレまで一緒じゃないから…。 おっと! そのプラモには触るな! まだ接着部分が弱くて誰にも触られたくないんだ。
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*執事・セバスチャン* お待たせ致しました。お話は伺っております。ネックレス盗難の件ですね? はい、左様にございます。 当家の家政を一人で取り仕切っておりますので、アリバイ証明できない時間があるのは間違いありません。 どうなされましたか? あぁ…こちらの鍵束が気になっておいでですか。 残念ながら、屋敷内すべての鍵を所持しているわけではありませんよ。 特に金庫は…。 旦那様の言い付けです。
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*旦那* あぁ。君があの。座りたまえ。 セバスチャン、ご苦労。彼の分も夕食の準備をしておいてくれ。 で?何を聞きたいのだね? ふむ。確かに金庫の鍵は私が持っている。 中身を見たい?それは困ったことだ。 いや、実は私も中身は知らないのだよ。代々伝わる秘密の解除方法があってね?私にはその暗号がさっぱり… 暗号のことなら、ミリーに聞きたまえ。なぁに、彼奴はそこいらの猫とは違ってね。おしゃべりな猫さ。
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*猫・ミリー* にゃーにゃにゃ。 にゃにゃーにゃにゃにゃにゃ。 レポーターは首をかしげた。確かによくしゃべるが…意味がわからない。 すると、猫の首輪に付けられた小さな液晶に文字が出た。 『金庫開けたいの? なんでまたそんなものを。あそこにはキラキラは入ってないよ。まぁ、奥様張本人はあそこを何度も、入念にチェックしてたけどもね』
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*奥様* ま〜、探偵様〜。この度はわたくしの事で御足労をおかけして申し訳ございませんね〜。 ベンとドロシーが、ずっと一緒にいたですって? それはあり得ませんね〜。だって、あの子達の仲の悪さときたらそれはひどいもんなんですよ〜? ええ、屋敷の者で知らない者は誰もいません。 金庫室ですか? ええ、確かに何度かあのお部屋の前は通りました。お手洗いに続く廊下がありますからね〜? おほほほほ〜!
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おや? もう情報収集を終えたのですか。事件解決の見込みは? 自信がある? ほほぅ。 え? はいはい。皆を金庫前に集めて欲しいと。 旦那様、執事、長女、長男、愛猫、それに奥様。 私ですか? もちろん行きますよ。この事件を見届けなくてはいけませんからね。 で、犯人はどなたなのですか? 真実はどうなっているのですか?私にだけこっそり教えてくださいよ。 ええっ? その金庫、もしかして…⁉︎
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みなさんお集まりのようですね。 それでは事件の真相を…。 まず、犯人ですが複数います。ただし盗んだ方はそれに気づいていない。 はっきり申し上げます。実行犯はドロシーとベンです。貴方達は旦那様に言われて盗んだのでしょう。そう。そして旦那様も共犯者となる。ですが、本当の犯人は、奥様です。 貴女は旦那様にネックレスの事を話しましたね?そう。旦那様はお金に困っておられる。それを利用して盗ませたのです!
- 完 -