サウザント・ヒロイン

ヒロイン合戦

我こそはと思うヒロインの皆さん、是非ぜひご参加あれ!この合戦を最も盛り上げてくださった方には、厚労省として、なんでもひとつ、願いを叶えてさしあげます。

物語創作委員会

かぐやは地球から衛生を介して届けられたDMに目を通した。退屈な月から地球に帰りたい。だがあの人魚の姫がしゃしゃり出てくるだろう。そりゃあくだらない人間の男のために泡なんかにはなりたくないもの。

金春こんぺい燈

- 1 -

継母の言いつけで郵便物を取りに行ったシンデレラは、こっそりこのDMを抜き取った。
とろくさい王子がなかなか迎えにこないせいで、わがままな継母や姉たちにいびり倒されてもう頭がおかしくなりそうだ。

継母といえば、別の国の白雪も継母に殺されかけているらしい。毒の林檎まで食べさせられているらしいから、今回の合戦には必ず参加してくるはず。お互い継母には苦労する身、同情はするけれど、勝つのは絶対この私!

lalalacco

- 2 -

みんなだって確かに苦労してるかもしれないけど、私だって負けたもんじゃない。

継母に気づかれずにDMを受け取った白雪はほくそ笑む。
隣国のシンデレラちゃんはお人好しだからちょろいわね。
どうやらあの寂れた国のラプンツェルや眠ってばかりのいばらも来るらしいわね。
でも絶対に負ける訳にはいかない。

勝つのは私!
幸せを手に入れるのはこの私ただ一人!
私は白雪姫!!
美しい美しいヒロイン!

Iku

- 3 -

「無理よ!だってこんな隈なのよ!なんで私が出場する噂が広まってるの⁈」
紡ぎ車の錘で壁に留めたDMを、やつれた姫は不安気に見つめた。
可哀想に百年も眠り続けた為に、不眠症に苦しんでいるいばらの眠り姫だ。
「無理よ…」ぼさぼさに絡み合ったブロンドの髪を鼻と尖らせた口の間に挟み、髭の様にしながらふぅうと溜息を一つ。そのままうな垂れるとポロポロと涙が零れ始め、やがて、泣き疲れフテ寝に落ちていった。

真月乃

- 4 -

(ああ~、ホンットにやってらんない。声が出ないってさあー。ダルイ薬飲んだなあ)姉が届けたDMをパタパタさせながら、人魚は考えた。(大体声が出たところで、あんな男…城主ってコトくらいしか、価値無いわネ)
人魚姫は、薬のおかけで手にした足をヒールへ詰め込んで歩き出した。
(あの男と一生暮らすのも退屈だし、泡になるのもまだゴメンだわ…。泡になってしまう可哀想な人魚……どーせみんな助けたいでしょ?ふふ。)

jude

- 5 -

「そろそろかしら」
鏡を覗き込みながら、白雪姫の継母がニヤリと笑った。
「たくさん集まってくれそうじゃないの」
「楽しみだわぁ」
その背後に立ち並ぶのは、シンデレラの継母と義理の姉妹たち、ラプンツェルの魔法使いなどなど、古今東西、童話や御伽噺の悪役たち。

そう、ヒロイン合戦とは、ヒロインたちをおびき寄せて一網打尽にしようという、悪役たちの恐ろしい作戦だったのだ!

- 6 -

最初から継母たちに縛り上げられていたシンデレラは言うまでもなく、着飾って来た錚々たる面々も悪役連合の前になす術なく制圧された。

「こんなものか、あっけないにもほどがあるわ!」

西の森の魔女が叫ぶと、ほぼ同時に狼男が笑い出した。

「何がおかしい、狼!」と魔女。

狼男は笑うのをやめ、少女の声で語り出した。

「あたしの存在忘れて浮かれてるアンタらが可笑しくてね!」

と、狼の腹を内から裂いて…

B.I.L

- 7 -

と思ったが裂けなかった。

そうして帰らぬ人となってしまいました。

きのこん

- 8 -

「ほほほ、楽勝だったわね。ヒロインは物語にたった一人。でも悪役は沢山いるわ、初めから勝ったも同然だったのよ」と悪役は勝ちを確信しそうになった時ーー嫌に外が騒がしいことに気がつきました。
外を見た悪役は悲鳴を上げました。
「なによこれ!?」
そこには何百、何千のアニメ、漫画、ゲームのヒロイン達がーー
どうやら童話の悪役達が知らない内に世の中にはヒロインが溢れかえっていたようです。

めでたしめでたし

kituneko

- 完 -

作品情報

サウザント・ヒロイン

#695

リレー期間

1ヶ月