ストーカー

なんとなく、出会い系サイトに登録した。 学生生活はひまでひまで仕方なかった。 あ、この人かっこいい。 サイトの顔写真一覧で、目を引く一枚の顔写真。 目線を外した顔写真。服装も、なかなかおしゃれだ。 カズマ 26歳 ♂ 「仕事柄出会いがないので登録しました。」 とりあえず足跡を残す。 まあ、私は顔写真も設定してないし、メールなんて来ないと思うけど。 まあ、目の保養、目の保養。

13年前

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数日後、プッシュ通知の音で起こされた。おやすみモードにしてなかったっけ?あと一時間眠れたのに! まあでも取り敢えずチェックする。また例のくだらないアプリの更新通知なら、もう削除だな。 通知は出会い系サイトからだった。 メッセージ一件。 こんな時間に非常識だな…… アプリを起動して完全に覚醒する。いや、夢か? 『アンタうちの人に足跡つけたやんな。覚悟しといてな』 だ、誰だよ?!

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足音が聞こえた。アパートの階段を誰かが歩いている。思わずびくっと身体を竦め、耳をすます。足音はそのまま遠ざかっていった。 ホッと息を吐き、それから自分びくびくしすぎ、ホントに来るわけないしと苦笑いする。 テレビをつけると今話題の事件が特集されていた。狙いをつけた相手の家に大勢で押し掛けて居座るという手口にさっきのメールを連想しつつ、自分だったら逃げられるかなと考える。 と、またアプリの通知が来た。

kemeco

13年前

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『たかがアプリとか思うたらあかんで!アンタがどこの誰やか、IPアドレスから割出しとんのや』 何これ⁈まさかそんな事って可能なの⁈ 何だか気味が悪くなってきた。大変な事に成らない内に…そ、そだ!アプリ削除しちゃお! アプリを長押しするとアイコンがプルプルと震えバツ印が表れた。何だか自分の心の状態そのものだ。 アイコンがスーッと縮んで消えた。 その瞬間「mailだよ」とスマホが叫び声をあげた。

真月乃

13年前

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ま、まさかな。 そう思いつつmailをみると 「キャベツかってきて。」 彼氏からだった。 「なんだ。やっぱりデタラメじゃん。」 彼氏とは、うまくいっていたがあまり会わないので、心の支えに少しでもなればと思い彼氏にmailをした。 そう思い私は寝ることにした。

夢幻少年

13年前

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どれくらい眠っていたのかわからない。 時計をみると、二時間くらいは眠っていたようだけど。 と、うとうとしながら体を起こす。 玄関から、ガチャッと音が聞こえた。 彼氏かな? キャベツ買っていかなかったから、仕方なくあいにきてくれたのかな? でも、ドアが開いて入ってきたのは──

13年前

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「来たで。」 ニヤリと笑ったその顔は彼氏ではなかった。だか見覚えがある顔。 「...どうして?」 疑問だけが頭を埋め尽くす。 目の前に立ってる男は、

rii

12年前

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私の元彼だった。 「なんであんたがココに」 私から振ってストーカー化した元彼から逃れるのに苦労した思い出が蘇り、全身が総毛立つ。 「出会い系に登録するなんてさ。彼氏と別れたのなら、俺とヨリ戻してくれよ」 「わ、別れてないし! それにだいたいあんた、どうやってここに」 元彼はニヤリと笑って答えない。 その時、私の背後で携帯電話がメールの通知に震えた。 そして、同時に玄関からも誰かが──

12年前

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後ろで携帯がなってる… ちらっとみると彼氏からだった。 でも今携帯なんかいじれる状況じゃない。 「俺の家金持ちって知ってるしょ? 親の友達ですごいやついてさ。お前の携帯が今どこに接続してるとかリアルでわかるわけ。俺からはもう逃げれない。より戻そう?」 頭、狂ってる。 そして元彼の後ろから来たのは… 見慣れない女。 「だーめ。あなたは一生私のもの。」 元彼は血を流して玄関で倒れた。

安田

12年前

- 完 -