晩餐会 ~上巻~

それは、とある古城のとある月のとある日に行われた晩餐会という名の仮面がついた殺し合いだった。 僕のもとに一通のメールが届く。 知らないアドレスからのメールだった。 イタズラかな… なんとなく、メールの本文を見てみたら、なんとなく興味をそそられる内容が書かれていた。 その時、会社に同期の知っている奴はいたが、付き合いがうまくない僕はつまらない日々をおくっていた。

•紅蓮•

13年前

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件名:平凡な日々にうんざりしていませんか? 本文:この度、あなた様は晩餐会への参加権を得ました。 参加を御希望される場合は、このメールに返信をして下さい。 返信が確認されたのち、詳細メールを送信させて頂きます。 参加を御希望されない場合は、このままメールを削除して下さい。 しかし、削除されると晩餐会への参加権は永遠に失われます。 参加された場合、今までとは全く違う日々を体験出来るでしょう。

kota

13年前

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「『今までとは全く違う日々』ねぇ…」 飽いた生活に刺激が欲しくないわけではない。 しかし、優れて何かが出来るわけではない僕は〝可もなく不可もない〟生活に対して現状維持を保っていくだけだ。 きっと、 晩年になって、『平凡だが大過なく過ごした』なんてこれまた平凡なセリフを吐いて死ぬのだ。 イタズラメール。 そんなものでこの人生が変わるのなら。 僕は苦笑しながら、返信ボタンを押した。

aice

13年前

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だがそれからは、なにも起こらなかった。 詳細メールなんてものは来ないし、僕はやはり、平凡で退屈な日常をおくった。 そんなありふれた日々の中で、僕はそのメールについてすっかり忘れていた頃、漸くそれは届いた。 件名:晩餐会のご参加について 本文:晩餐会にご参加ありがとうございます。 明後日の夜、迎えをよこしますので、ご用意ください。 それから…

Iku

13年前

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この件は決して多言無きよう、宜しくお願いいたします。 たったそれだけの内容で、『迎えをよこす』とあるのに場所や時間の指定もない、淡々とした事務的な文章に僕はうすら寒さを覚えた。 それからの『晩餐会』開催日までの時間は確かに僕の生活を一変させた。 まだ半信半疑のままだったが、ひょっとして?なんて仕事の合間に想像を巡らせるだけでドキドキする自分に気づく。 果たして約束の夜、突然携帯が鳴り出した。

黒葉月

13年前

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緊張しながらも見知らぬ番号からの着信をとれば、淡々とした男の声が僕の名を呼んだ。 「お迎えに参りました。どうぞ、外へお出ましください」 僕は驚き、慌てて窓から外を確認する。眼下の路上には黒塗りの車が一台、停まっていた。 半信半疑で外へ出ると、車の前にはスーツ姿の若い男が立っている。 「会場までご案内させて頂きます。どうぞ、お乗り下さい」 その男に促されるまま乗り込めば、車は滑るように走りだした。

huuka

13年前

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古城では月がよく映えた。 高い崖の上に建てられ、庭の植物が妖艶に光る。 「さあ、どうぞ」 玄関前で渡されたのは一つの剣。 柄に装飾が施され、刃先は鋭利でよく切れる。 もう一つ渡されたのは仮面だ。 ヴェネチアのワンシーンを思い出すような、孔雀の羽がついた仮面で、表情に乏しいために不安を煽る。 舞台は整った。 これからこの古城で殺し合いが行われるのだ。 若い男は城を案内した。

aoto

13年前

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城の中は異様なまでに寒かった。 城が広いこともあるだろうが、 暖房がついている感覚は0だ。 よく見渡すとここは玄関らしく 周囲に鉄製や木製の大きさもバラバラな扉が不規則に取り付けられている。 「こちらへどうぞ」 男はそう言うと足早に 一際大きな扉を開いた。 するとそこにはもう一枚扉があった。 扉の横にはネジの取れかけた看板で 〝大広間〟と書かれていた。 長い間人の手から離れていたのだろう。

zu-nu

13年前

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「さあ、退屈な日々よさようなら、今宵の晩餐会の始まりです!」 男は、そういうと先ほど入ってきた玄関先へ足速に戻って行った… 『…⁉』 先ほどまでに感じ無かった、人の気配、殺気のような気配が大広間中に拡がった。 ぐわっー! 叫び声が大広間に響き渡る 僕もだんだん眼がなれてきて 状況が掴めた数人が居るなか 一人倒れている 殺戮ショーが始まっていた… …この物語は次巻へつづく

ありおん

13年前

- 完 -