はぁい、私浦島太郎です。 どうも最近、童話の中のホルモンバランスが乱れてるみたいなの。 私、亀を助けて子供達を追い払うまでは勇ましかったんだけど、何故かしら… 「ちょっと!あんたも男ならクソガキ共に好きにされてんじゃないわよ!」 って亀に言っちゃってから、どうも変なのよね。 竜宮城がまた女ばっかりでつまんないのよ! それに、陸に上がって玉手箱を開けた時は、断末魔みたいな声が出たわ。
- 1 -
へえ、浦島太郎も大変だったんだな。 え、俺?かぐや姫だけど。ほら、そのホルモン何とかのせいさ。 前はもっと女らしかったぜ。 でもさ、いろんな男どもが俺に求婚し始めた頃から変なんだよな。男に興味が全然わかなくなったんだ。 だから男どもに無理難題を押し付けて、結婚を断ったってわけ。 それから月の奴らが迎えに来たんだけど男みたいになった俺をそのままおいていったんだぜ。
- 2 -
かぐちゃん、そうだったんだ。 なんかさ、急に最近私に冷たいなぁ〜って思ってたの。 でも私もなんだか、きびだんご食べてから変なの。 アレルギーかしら? 鬼と戦おうと思ってもさ、鬼の奴、裸なんだもん。 恥ずかしくて… 赤鬼より真っ赤になっちゃた。 そんな私を見てサルは、 「おめぇ、最近気持ち悪りぃな」 って私の事バカにするし、 私もう、どうしていいかわかんなぃ。
- 3 -
ミンナタイヘンデスネ。 ワタシナドハ、コレヲホルモンバランストイッテイイノカワカリマセンガ、データチップニヨッテエイキュウノセイヲウケルコトガデキマシタ。 ヒビウサギカラタイカジッケンヲサレテマス。 ジッケンニフテキゴウダッタバアイ、スクラップショリヲホドコサレ、ドロブネデミズウミニシズメラレルノデス。 ソシテマタ、イチカラツクラレマス。 ゲンザイノワタシハタヌキ543号。
- 4 -
かちかち山も最近物騒になったものよね。 みんなも大変みたいだけど、あたしもあんまり調子よくないのよねー。 「そうだ京都行こう」なんて言ってさ、針を持たせてもらってお椀で川を下ってたわけ。 その頃はまだ小さいながら男だったわよ。 でも転覆してからは、大変! やっとの思いで鬼を倒してもさ、打ち出の小槌で大きくなったところで、あたし180センチの大女よ? そのまま、姫様の用心棒になったんだけど。
- 5 -
やだ、最近金ちゃんが前掛けにフリルつけ始めたのって、ソレのせいなのね⁉ そういえばマサカリに飾り紐結んでたし。 相変わらず力持ちでアタシたちが束になったって勝てやしないから気にもとめてなかったけど、もしかして可愛らしい着物とか要るのかしら。尻丸出しはマズイわよね。 育ての親の鬼婆は元から爺さんだか婆さんだか分かんないから、あんまり影響なさそうね。 え、私?失礼ね、私は元から雌熊よっ。
- 6 -
へぇ、そういう事なんだっぺか。 その・・ほるもん?つーやつが原因でオラが正座しなくちゃならなくなったんだな。 その経緯かい? それが大雪の日、めんこい鶴がやって来て一晩泊めてと言うもんだから承諾したっぺさ。したら、お礼するってぇ言われてな。だか、気になるだろ? 襖をチラッとのぞいたらばれちまって、約束破った罰だと正座だで。ひどい話だろ? あ!あっ‼つっ鶴さん!足ツンツンはやめてくんろ〜!!
- 7 -
世間がそんなことになっていたなんて、おどろきですね。 道理でうちのおばあさんが毛むくじゃらの、目のギョロリとして、牙なんかも生えてきたなと、感じていたんです。 あ、頭巾ですか? はずかしながら、まだつけていますよ。青に色は変えましたけどね。 おばあさんの家にいくのに、花摘みで寄り道なんて、恥ずかしいことはしません。 狼とか狩りしながら、向かってますよ。
- 8 -
「お母さん!大変なの!ご本さんがバラバラになっちゃった」 「まぁ継ぎ目が緩くなっていたのかしら」 どのご本がどれだか分からなくなってグスングスンと泣いている女の子 大丈夫だから本をつむぎましょ?とお母さんは童話のご本を少しづつ直していきました。 あらまぁ、この童話達の異変はこのせいだったのですね? さぁ元に戻りましたよ 皆さん異変は戻りましたか? おや、大丈夫そうですね。
- 完 -