遥かな夜、9つの夢風

【煉瓦の塔と吟遊詩人】

金の盃砕ければ
都に集まる宝石商

銀の高杯傾けば
スラム街に夜が来る

熱砂の城は瓶の中
空中庭園堕ちていく

香油とぶどう酒取り替えて
金貨は泉に湧き出した

逆さまヘビを信じるな
赤いリンゴは毒入りだ

情と欲との交差点
混沌とした言葉たち
どうやらここはバビロニア

*抽象的な、不思議な雰囲気の詩を書いて下さい。詩のタイトルもお願いします。

古都の三日月

- 1 -

【月のダルメシアン】

遠くで河馬が吠えたとき
魔法色の虹がかかった

光の余波は歌の理を変え
天地を揺るがす鉄となる

月の兎は地上に墜とされて
代わりに占拠を始めた
数百匹のダルメシアン

兎は地上の影を縫い合わせ
黒く濁った餅をつく

影を縫われた人間は
月に頭をたれて祈るけど
兎の怒りは収まらない

ダルメシアンに疫病を
ダルメシアンに疫病を

月の居住に命かけ
兎は杵を振りかざす

aoto

- 2 -

【甘く煮詰めた毒の蜜】

固練りの飴でできた傘に
プラリネがパラパラと

苦く凝ったタールを垂らして
飲み干してしまおうか
いや、呑もう

ぐつぐつくつくつ
あわだつうなじ

廻るはただ回転木馬
首を落として
嗤って廻る

大きな顔した紅球が
たなびく薄いカーテン揺らす

トルコブルーを融かしておいで

手招きしては手の平返して手の内見せる

おいで
おいで

金春こんぺい燈

- 3 -

【ドクソウシャ】

扉を五センチ開けて
牡丹で飾った櫂船ひとつ
野分けの波濤に浮かべてみた

船べり腰掛け
水平臨界覗いてみると
死んだクリオネ万華鏡

ふやけたオールで
ベイビーブルーを搔き退けて
お玉杓子ののさばる方へ

手風琴と竪琴と口風琴
楽隊行脚威風堂々
緑烏帽子と赤服の後ろ
みなもを叩く櫂船こびりつく

演奏中に空から海が降ってきたから
クリオネさんのところへ逝かないと

- 4 -

【まどろみ】

今夜はゆっくりお休みよ
お話聞かせてあげるわね

今夜は良い子でお眠りよ
お話聞かせてあげるから

杖を一振り
南瓜に乗った鼠さん

闇夜に聞こえる内緒話
明日は森に出かけるの

二度と履かないあの靴は
今も何処かで踊ってる

瞳の中の鏡の欠片
永遠を探しに

坊やはふわふわ舞い昇る
天の世界にボンジュール

しくしく ひっくひっく
すすり泣くのはだぁれ?

熊岡りり

- 5 -

【ヨ・ゾ・ラ】

紺鉄の空に裂けた月

瞬く灯りに
挙げた私の手は
一対のかげとひかり

触れたかけらは
妙にあたたかい

───────────────
後が続きませんでした。読んでも書いたことが無い「詩」、皆さんの詩を読んでつい...
今夜、僕は誰かの「詩」を読みたくなりました。

- 6 -

【あしあと】

一歩二歩、足裏で
確かめるように進んでく

風に舞う
桜吹雪は出会いと別れを告げていて
ヒカリは暑さと増してった

三歩四歩、少しずつ
刻みつけて歩いてく

儚げな
夜空の彩りに願い込め
地に横たえてじっと待つ

いくら針を戻してみても
サラサラ砂が落ちてくように
消えることなく続いてく
留まることなく膨れてく

明日もまた
昨日を残して今日になり
錯綜しつつ走り出す

blackcat

- 7 -

【音の声】

伸びてる分だけ生きてるの
短い一生 連鎖していく
いっそこのまま止めてしまって
あなたに魔法をかけたいわ

伸びたあとも生きてるさ
短い一生 さあ手を伸ばして
掴んだ掌消えてしまった
僕ももうすぐ消えるから

ずっと一緒に生きていよう
生まれた時から 消える時まで
消えた後もずっと一緒
後でまた巡り会えるよ

短い音の一生
刹那に響く音符たち
人の心に辿り着くまで

なるばなな

- 8 -

【夢、嫋嫋と】

月が笑い歪む、極寒の砂の夜には
震える睫毛が交差するのです

砂まみれの外套、その下の古傷が
震えては獣の唸りをあげるのです

水気を失った、砂の年輪の奥行きは
触れるだけでは計り知れないのです

傾く月が夢を見る、今宵の目を盗んで
握りしめる拳から砂を零すのです

夢は嫋嫋、嫋嫋と

夜明けと共に、吹き荒ぶ砂嵐が
右に左に別れ行く道を温かく示すのです

- 完 -

作品情報

遥かな夜、9つの夢風

#3524

リレー期間

3日