【煉瓦の塔と吟遊詩人】 金の盃砕ければ 都に集まる宝石商 銀の高杯傾けば スラム街に夜が来る 熱砂の城は瓶の中 空中庭園堕ちていく 香油とぶどう酒取り替えて 金貨は泉に湧き出した 逆さまヘビを信じるな 赤いリンゴは毒入りだ 情と欲との交差点 混沌とした言葉たち どうやらここはバビロニア *抽象的な、不思議な雰囲気の詩を書いて下さい。詩のタイトルもお願いします。
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【月のダルメシアン】 遠くで河馬が吠えたとき 魔法色の虹がかかった 光の余波は歌の理を変え 天地を揺るがす鉄となる 月の兎は地上に墜とされて 代わりに占拠を始めた 数百匹のダルメシアン 兎は地上の影を縫い合わせ 黒く濁った餅をつく 影を縫われた人間は 月に頭をたれて祈るけど 兎の怒りは収まらない ダルメシアンに疫病を ダルメシアンに疫病を 月の居住に命かけ 兎は杵を振りかざす
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【甘く煮詰めた毒の蜜】 固練りの飴でできた傘に プラリネがパラパラと 苦く凝ったタールを垂らして 飲み干してしまおうか いや、呑もう ぐつぐつくつくつ あわだつうなじ 廻るはただ回転木馬 首を落として 嗤って廻る 大きな顔した紅球が たなびく薄いカーテン揺らす トルコブルーを融かしておいで 手招きしては手の平返して手の内見せる おいで おいで
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【ドクソウシャ】 扉を五センチ開けて 牡丹で飾った櫂船ひとつ 野分けの波濤に浮かべてみた 船べり腰掛け 水平臨界覗いてみると 死んだクリオネ万華鏡 ふやけたオールで ベイビーブルーを搔き退けて お玉杓子ののさばる方へ 手風琴と竪琴と口風琴 楽隊行脚威風堂々 緑烏帽子と赤服の後ろ みなもを叩く櫂船こびりつく 演奏中に空から海が降ってきたから クリオネさんのところへ逝かないと
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【まどろみ】 今夜はゆっくりお休みよ お話聞かせてあげるわね 今夜は良い子でお眠りよ お話聞かせてあげるから 杖を一振り 南瓜に乗った鼠さん 闇夜に聞こえる内緒話 明日は森に出かけるの 二度と履かないあの靴は 今も何処かで踊ってる 瞳の中の鏡の欠片 永遠を探しに 坊やはふわふわ舞い昇る 天の世界にボンジュール しくしく ひっくひっく すすり泣くのはだぁれ?
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【ヨ・ゾ・ラ】 紺鉄の空に裂けた月 瞬く灯りに 挙げた私の手は 一対のかげとひかり 触れたかけらは 妙にあたたかい ─────────────── 後が続きませんでした。読んでも書いたことが無い「詩」、皆さんの詩を読んでつい... 今夜、僕は誰かの「詩」を読みたくなりました。
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【あしあと】 一歩二歩、足裏で 確かめるように進んでく 風に舞う 桜吹雪は出会いと別れを告げていて ヒカリは暑さと増してった 三歩四歩、少しずつ 刻みつけて歩いてく 儚げな 夜空の彩りに願い込め 地に横たえてじっと待つ いくら針を戻してみても サラサラ砂が落ちてくように 消えることなく続いてく 留まることなく膨れてく 明日もまた 昨日を残して今日になり 錯綜しつつ走り出す
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【音の声】 伸びてる分だけ生きてるの 短い一生 連鎖していく いっそこのまま止めてしまって あなたに魔法をかけたいわ 伸びたあとも生きてるさ 短い一生 さあ手を伸ばして 掴んだ掌消えてしまった 僕ももうすぐ消えるから ずっと一緒に生きていよう 生まれた時から 消える時まで 消えた後もずっと一緒 後でまた巡り会えるよ 短い音の一生 刹那に響く音符たち 人の心に辿り着くまで
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【夢、嫋嫋と】 月が笑い歪む、極寒の砂の夜には 震える睫毛が交差するのです 砂まみれの外套、その下の古傷が 震えては獣の唸りをあげるのです 水気を失った、砂の年輪の奥行きは 触れるだけでは計り知れないのです 傾く月が夢を見る、今宵の目を盗んで 握りしめる拳から砂を零すのです 夢は嫋嫋、嫋嫋と 夜明けと共に、吹き荒ぶ砂嵐が 右に左に別れ行く道を温かく示すのです
- 完 -