COSMOS

満月が照らす夜、静まり返った港町に少年が1人、忍び足で何処かに向かっていた。
やがて1つの民家のところに辿り着くと、少年は歩みを止めた。少年は窓から中を覗いた。中では、ベットで誰か寝ている。親は2階で寝ているようだ。少年はそのことを確認すると、音をたてずに窓から部屋の中に滑り込んだ。そして寝ている友人の横に立つと、友人の身体を揺すった。

takaya
- 1 -

友人が目を覚ます。そして至近に少年の顔があることに気づくと、驚きから声を上げそうになった。少年は慌てて友人の口を塞ぐ。すると友人は手足をばたつかせ、少年を振りほどこうとし始めた。
「しー、しーっ!」
友人の呼吸が落ち着いたことを確認して、少年は手を離した。少々驚かせることはあると思っていたが、まさかここまで過剰な反応をされるとは思っていなかった。
「おま、今何時だと思ってるんだよ!」

やーやー
- 2 -

少年は頬を若干紅潮させながら、期待に満ちた目で友人に問い掛けた。

「なぁなぁ。星を見に行かないか?」

その言葉は、平凡な二人の少年の、小さな冒険の始まりの合図だった。

rato
- 3 -

「星?」

友人は眉根を寄せた後、しばらくして合点がいったように頷いた。

「星誕祭か。でも、夜が明ければまる一週間はどんちゃん騒ぎが出来るんだぜ。なんでわざわざ…」

友人が欠伸をしながら夢の中に戻ろうとする様を、少年は慌てて引き止めた。

「祭りの最中、新しい星が生まれるだろう?けど、それは今年はじめて生まれる星じゃない。一番最初に生まれる星が見たいんだ。今から行けば見れるはずだ。なあ?」

some
- 4 -

目を輝かせる少年を無視することはできるはずもなく、友人はベッドの中からそろりと抜け出した。

「少しだけだぞ。僕だってまだ眠いんだ」

もうすぐ春を迎えるとはいえ、外に出ればまだ白い息が目立つ。
少年は高台に続く階段を楽しげに登っていく。見上げた空はまだ暗い。明日になればこの空に多くの星が瞬くことになるだろう。星が生まれる瞬間を想像して友人も少し心を躍らせる。

niko
- 5 -

少年たちが高台に着くと、空はぼうっと霞をかけたように赤く輝き始めていた。しかし、まだ星は見あたらない。

「よかった、まだ生まれてない」

少年が、口から白い息を吐き出した。友人も、星の生まれ出る予感にそわそわと大空を見廻している。

こんなに空が動くことを知らなかった。
空は赤から緑へと色を変え始めていた。頭上で細かな筋がぐるぐると渦を巻いているのが見える。

星が、生まれようとしていた。

Utubo
- 6 -

渦は次第に大きくなり、ぐるぐる、ぐるぐる空をかき混ぜる。油断すれば、ふわりと地面から足が離れて渦に飲み込まれてしまうような錯覚を起こす。

「いよいよだ」

少年の胸は期待に高鳴った。
星が生まれる瞬間を、ただじっと見守る。

ぐるぐる、ぐるぐる、ぴたり。

一瞬の静止。そして空は渦を開くように逆回転を始めた。渦の中心から突如閃光が放たれた。

眩い光に思わず、少年は目を閉じる。

トウマ
- 7 -

いわゆる条件反射というやつだ。
星の生まれる瞬間が見たいとあれだけ強く思っていたのに、意志とは関係ない運動機能のおかげで、その瞬間を見逃しかけてしまった。
あわてて少年は目を開けた。

『光の噴流』

としか表現出来ない。
そんなものに少年と友人のふたりは包まれていた。
たくさんの星々の産ぶ声がいっせいに聞こえてきたような気がした。
やがて、まるで墨を流したようなヒビ割れが星と星の間を分けてゆく。

ぷにぷにヒロ坊
- 8 -

あたりを包む緑閃光がしだいに消えていく。

墨染め色の夜空の、先ほどまで渦巻いていた場所の中心に、真っ白に光り輝いている星が見えた。
生まれたばかりの星の色だ。

星が生まれるところなんて毎年見ているけれどこれは特別だ。今年初めての星誕を、この瞬間2人だけが見ているのだ。

「また来年も2人で見に来ようぜ」少年と友人は互いに顔を見合わせて、しっかりと頷いた。

ゴンザレス
- 完 -

novelnoveは
9人でひとつの
ストーリーを完成させる
参加型小説アプリです。