ぼくはネコ。 ニンゲンがそうよんでいるイキモノニャ。 ニンゲンにスズをつけられたり、ニンゲンのすむイエというところにおせわ?になっているネコは「カイネコ」とよばれているけれど…。どうやらぼくは「ノラ」らしい。 「ノラ」「ノラネコ」などとよばれている。 ところでぼくはニンゲンの「コドモ」がニガテニャ。 「カイネコ」だろうと「ノラ」だろうとおかまいなしに「ニャーニャー」となきまねをしながらよってくる。
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ほら、いまもあちらからニンゲンのコドモがやってくる。きっと「ニャーニャー」いうにちがいない。 きがついたみたいだニャ。あれ?よってこニャイ。 「ニャーニャー」いわニャイ。 あのコドモはネコアレルギーにちがいニャイ。 キをとりなおして…おつぎのコドモ。 きたぞ、きたぞ。 「あ、ネコだよ。すてネコかなあ?」 そうそう、わすれてた。 「カイネコ」「ノラネコ」のほかにも「ステネコ」というのがいるんだニャ。
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「ステネコ」は「カイネコ」から「ノラネコ」になったネコのことニャ。 ニンゲンがなんらかの事情で飼えなくなったら外に逃がすらしい。 「ステネコ」は今まで家の中で暮らしていた分食料の取り方やケンカの仕方なんて知らないからこの厳しいネコ社会で生きていくのは至難の技ニャ。 それに病気になるやつも多くてすぐ弱って死んでいくやつが多いのニャ。 そんなやつを何匹も見てきたニャ………。
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「ねえ、君。ミルクって猫しらない?僕のカイネコなんだけどね、昨日、お母さんがこの公園に捨てちゃったんだ」 突然なんだニャ、このコドモは。見知らぬ「カイネコ」のことを、なぜ知らなきゃならニャいのかニャ」 「ニャーニャニャニャー」 ぼくは少し声を荒げてそう言ってやった。 するとその子頷いた。 「やっぱり見てないんだ。怖くて隠れてるのかしら…」 ンニャ⁈ このコドモは猫語をリカイできるというのか?
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…こんなコドモ、今まで見たことないニャ。 おもしろそうだニャー、ちょっと、ついていってみるかニャ。 「あれ? さっきの猫だ」 気付かれたニャ。こっちに来なくてもいいのニャ。 「どうしたの? もしかして一緒にミルクをさがしてくれるの?」 ヒマだから見てるだけニャ。 でも、…そうだニャ、食いものくれたら手伝ってもいいニャ。 「本当⁈ じゃあ、あとで持ってくるよ! そうだ、君の名前は?」
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なまえはまだニャイ。 「ふーん、そっか。じゃあ、つけてあげる。チョコってどうかな?」 か、かってにするのニャ。でもちょっとうれしいニャ。それにしても、そのミルクはどんなネコなのニャ? 「茶色で、目が青くて、かわいいメスネコ。」 そんなのいくらでもいるニャ。 かわいいかどうかも、みるやつによるニャ。 でも、いくら「ステネコ」でも「ほんのー」は捨てきれないニャ。隠れてそうなところをあたるニャ。
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まずはそこの酒屋の軽トラなのニャ。 日光であたたまった荷台が気持ちいいのニャ。 それにトラはネコ科の動物ニャから、ネコならみんな親近感がわくんだニャ〜! ニャ… ネコジョーク…ニャ。 い、いないみたいだニャ。 でも、いちばんあやしいのはこの公園なんだニャ。 昼は昼寝に、夜はニャンニャンするのに便利だからニャ。「ほんのー」には逆らえないのニャ。人間と同じニャ。 もう少しここを探してみるニャ。
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とかそういった諸々も既に過ぎ去って行く。とかそういった諸々も既に過ぎ去って行く。も、過ぎ去って行く。だとしたら今、此の世とか彼の世とかそういった諸々も既に過ぎ去っていたのであって俺がこうして記している言葉と云うものも書いた瞬間に過ぎ去って行くのだ。だから人間と云う生き物、兎角「作家」と自負している人間では無く「作家」とその後になり呼ばれるようになった生き物は書いてはぶち壊し書いてはぶち壊し唯々、書
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変ニャ事、ブツブツ言っているニャー。 おかしなやつがベンチに座ってるニャーよ。 「あっでも、あのおじさんがヒザに抱えてるの、ミルクだ。」 ニャーァン、すごい可愛いニャー。 あの子紹介してニャーァン。 「あの、すみません、その猫、うちの飼い猫なんです。」 あいつ、俺の事、無視したニャー。シィーッ。 「そうか、よしよし、はいよ。」 「ありがとうございます。」 ニャー、俺と夜のニャーニャーしようぜ。
- 完 -