ぼくのおとうさんは、おうちのこしょうをまかせておけ!といって、かんたんになおしてしまう。ふだんは、かいしゃであたまばかりさげてみっともないっておかあさんはいってるけど、そんなことない。 ぼくのへやのどあがうまくひらかなくなったときも、あっというまになおしてくれた。おとうさんはなんでもできる。ぼくのへやのべっどにちいさなでんきもつけてくれた。これでよるがこわくない。おかあさん、おとうさんはすごいよ。
- 1 -
ぼくのおとうさんは、ちからしごとはまかせておけ!あせをかきながら、おしりのあたりまでつもったゆきを、どかしてみちをつくってくれる。おかあさんは、うんどうぶそくだといいながら、すーすーするものをおとうさんにはっているけど、そんなことはない。あさおきたらまたいっぱいゆきがつもっていた。ようちえんにいくときげんかんでおとうさんとあった。そとにでるとまたみちができていた。おかあさん、おとうさんはすごいよ。
- 2 -
ぼくはそんなおとうさんがだいすきだ。おおきくなったら、ぼくもおとうさんみたいになりたいとおもった。 でもきょうは、おとうさんはおしごとをやすんでびょういんにいっちゃった。おかあさんは、いつもがんばっておしごとしたり、おうちをなおしてくれたりしてるからつかれちゃって、びょういんにいってげんきにしてもらうんだっていってた。 おとうさんはきょうはびょういんにおとまりらしい。はやくげんきにならないかなあ。
- 3 -
おとうさんは、きょうもびょういんにおとまりだって。いつかえってくるのって、おかあさんにきいたら、もうすぐだよっていってたけど、きのうもおとといもおなじこといってたんだよ。おもちゃのでんしゃがこわれたから、なおしてほしいのに。ねるまえにおやすみっていいたいのに。 だからぼくは、いいことをおもいついたの。おとうさんがかえってこれないなら、ぼくがあいにいけばいいんだって。ねえ、おかあさん、いいでしょう?
- 4 -
おかあさん、どうしておとうさんにあいにいっちゃいけないの?おかあさん、どうしてないているの?おとうさんはもうすぐかえってくるっていってたのに。 おかあさんはなきながらおしえてくれた。おとうさんはあしただいじなしゅじゅつをうけるんだって。しゅじゅつがおわったらかえってこられるんだよね。だったらおとうさんがかえってくるまで、ぼくがおかあさんをまもるんだ。がんばるから、はやくかえってきてね。おとうさん。
- 5 -
おかあさん、おとうさんはいつになったらかえってくるの? おかあさんはまっかになっためで、ぼくをやさしくみたんだ。 おとうさんはそばにいるよって、そういった。だけど、ぼくにはみえないよ? おとうさんのすがたはどこにもないよ? しゃしんならあるけど。まっくろのりぼんにかこまれた、おとうさんのやさしいえがおなら。 だいすきな、おとうさんのえがおなら。だけど、うごかない。はなしかけてもこたえない。
- 6 -
おとうさんおそらにいるっておばあちゃんがいってた。いつおそらからかえってくるのかな。きょうびょういんのひとがおもちゃのでんしゃもってきたよ。おとうさんなおしてくれてたんだ!あと、おとうさんのてがみだって。 『つよいおとこになるんだぞ。つよいってやさしいってことだぞ。おかあさんをたのむな』 おとうさんもうかえってこないの?おかあさんにききたかったけどそしたらまたなくかもしれないからきけなかった。
- 7 -
あさおきたらまたいっぱいゆきがつもってた。ぼくはおとうさんのまねをしてまかせておけ!っていった。おとうさんがいつでもかえってこれるようにみちをつくるんだ。 でもどかしてもどかしてもゆきはいっぱいでさむくていたくてなきそうだった。けどがまんした。 ぼくはつよいおとこになるんだ。 おとうさんみたいに。 まだみちができてないのにおかあさんがもういいのよっていった。それからおはなしがあるっていった。
- 8 -
いえのなかにはいると、おとこのひとがいた だあれ?っておかあさんにきいたら、おかあさんは、ニコニコしながらこういった。 「あたらしいおとうさんだよ。」 って。おとうさん?おとうさん?このおとこのひとが?だって、おとうさんは、おそらにいるんだよ? 「このひとはおとうさんじゃない!だっておとうさんはおそらにいるんだよ!やくそくもしたんだ!つよいおとこになるんだって」 おとうさんやくそくだよ?
- 完 -