アカイ赤い紅い朱い緋い、 赤色。 貴女の色、 貴女の心、 貴女の身体、 全部全部、真っ赤。 炎からは逃げられない、 決められた運命、約束。 貴女は今どこに、 、、 私は"貴方の中"に潜む炎。 貴方と戦う炎。
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アオい青い碧い蒼い、 青色。 貴方の色、心、身体。 全部染め上げたい。 炎と対峙する水のあお。 逃れられない相対する存在。 貴方と戦う。 貴方と向かい合う。 消し去れない炎。
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クロい黒い畔い黝い、 黒色。 君の色、心、身体。 全てを真っ黒に染めたいんだ。 色なんてなくていい そうすれば何にも怯えなくていい。 戦争なんて哀しいことしなくていい。 君と僕だけを包む真っ黒な世界。 見えない見えない何も見ないフリ。 黒に染まった世界の中心で、 色の無い口付けを交わそうか。
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白い死ろい視ろい代い、 白色。 君の色、心、身体。 穢されていない純白、汚されていない潔白。 何もない空白。 まだ、君は何色にも染まっていない。 けれど、その空白をすぐに誰かが染めてしまうだろう。 だから、その前に。 僕が君を、染めてあげる。
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ウスい薄い淡い雨水、 薄色。 私の、心、身体。 全てにおいて仄かに、 しかしその存在は確かに。 薄紅のあか、薄氷のあお 薄墨のくろ、薄霞のしろ 貴方が気付けばそこにいる。 目を凝らせば、 うっすら見えるはず。 薄暮のような炎を認めて。 私は貴方のそばにいる。
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コい、濃い、乞い、恋い 濃色。 貴女の色、心、身体。 ある時は鮮やかに ある時は深く刻みつける。 見るものを惹きつけ、恋わせ、狂わせる。 乞う程に、貴女は甘美。 漂う甘さに耐えられず 幾度も心に炎を上げよう。 私は貴女の虜。
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アツい熱い暑い厚い、 熱色。 貴方の色、心、身体。 ずっと焦がれていたの。 苦しいくらいにあつく愛して。 貴方の血、傷、汗。 必ずついて行くわ。 全部受け止めてあげるわ。 貴方の見たいものを私も見たい。
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ハイ灰肺配胚。 灰色。 貴方の色、 貴方の心、 貴方の身体。 そして、貴方の境界線。 いつも黒の貴方と白の貴方を天秤にかけて、バランスを保っていた。 でも、いつしか黒と白は交わるようになった。 そしてわたしは貴方の交差点となった。 わたしには貴方を見守ることしか出来ない。 だってわたしは曖昧で、中途半端で、中立で、迷っているんだもの。
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私と貴方は一体何色に染め上げられたのか。 赤、青、黒、白、薄い、濃い、熱い、灰… たくさんの色の中で貴方に染め上げられ、私が貴方を染めていく。 貴方が私を染めるように、私も貴方を染めていく。 貴方の色、貴方の心、貴方の身体 全部私のもの 全ての境界を超えて混ざり合う 私たちの色、心、身体
- 完 -