口笛は何故遠くまで聞こえるの? それは錯覚だよハイジ あの雲は何故私を待ってるの? それはただの自意識過剰だよハイジ 何のために生まれて何のために生きる? それは是非ともジャムおじさんに聞いてくれアンパンマン ゆきのやまなぜバラ色に染まるの? え⁉ハイジ目大丈夫⁉ わらのなかなぜいつもあったかいの? …それはきっとわらに火がついてるんだよハイジ 早く逃げて!
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…ハッ!? 私としたことが、また一人でブツブツと言っていたようです。 昔から私は、現実的に物事をみるような子どもでした。アニメの主題歌を聴いては、先ほどのようにコメントをする。それがなんともまぁ快感なのです。自分は物知りだ、そう感じられたのですから。
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そういう余韻に浸っていると、 どこかから声がする。 ん? んんっ!? え?何?もう起きろって? …って今何時? ヤバッ寝過ごした!! ガバッと起きた。
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と、そこにはあり得ないせかいが広がっていた 「な、何ここ…」 そうゆうのも無理はない そこは見渡す限り野原。いや、うん野原だ そしてベットの周りには羊たち。 『メェェ〜』なんて言いながら口をモグモグさせている羊たち 頭は完全にショートしてしまっていて視覚からの情報を脳は取り込めないでいる ふと目の前が暗くなり顔をあげればそこには男の子が立っていた 「ん?ペータ?」と口から出てしまっていた
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「なんだい?ハイジ。ずいぶん長い昼寝だったね!」 ハ、ハハハハハハイジ!? 「ハイジって私のこと!?」 「そうに決まってるよ!君、いくらそのワラのベッドがあたたかいからって、寝ぼけてるの?」 本当だ!いつの間にかベワラのベッドに寝ていたみたい。 「ワラのベッドって本当にあたたかいんだ…」
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年甲斐もなく、ベッドの上で跳ねてみた。 スプリングのベッドの様に強く跳ね返すことはなかったが、ワラがふわっと私を包み込む様に受け止めてくれた。 するとペーターが 「ハイジ、ほら!見てご覧よ」と遠くを指差した。 見ると、アルプスの山々がバラ色に染まっていた。 バラ色は見る見る間にその色を変え、山はまるでダンスを楽しんでいるドレスの様に姿を変えて見せた。 美しい光景に、私は声を失った。
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丸窓の向こうの素敵なショーを見せてあげないと! いまや私の体は小さく軽くなっている。弾みをつけベッドから飛び降り、部屋の隅のハシゴをトントンと下った。 「おじいさーん」 おじいさんは木彫りの手を止める。 「どうしたね、ハイジ」 「すごいの。山が燃えているのよ。一緒に見て」 「ほう、そうか。どれ……」 「ヨーゼフ、あんたも見る?」 床に寝そべる大きな犬は、私を一瞥すると大あくびして再び目を閉じた。
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「ほう、あれは凄いのう。凄い、凄す凄いすこここおああいすごここ」 「ええ!? いきなり展開がほのぼのだったのがホラーに! 何が起こったの!?」 おじいさんは涎をたらしながらふらふら。うん。完全にホラーの世界へ突入したみたい。 「って、観察してる暇じゃないわ! ペーター、ペーターはどこ!?」 「ていねんぴ、ていねんぴ、ていねんぴっぴっぴー」 「おじいさん! それハイジ違いじゃないの!」
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ヨーゼフは片目を開け、 「.....減税の対象だよ!」 カーーーーット! 「監督、これでいいんですか?」 「うむ、コミカルで、意外性があり、自然の美しさも盛り込んで、そして最後に力強くエコをアピール。スポンサーの意向だ!」 「でも、どうせなら、クララも登場させた方が...」 ヤベッ! 睨まれた... 暫くして僕は、ヨーゼフとクララが一緒に 『.....対象だよ!』と言っているCMを観た。
- 完 -