ウラミチガイ

私はあなたを許さない 絶対、絶対に 許さない

yui

13年前

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あなたを許せる理由があるなら教えてよ 無いよね? 許されたいと願わないで 永遠にありそうにないから 私の永遠が続くまで ずっと ずっと ずっと 苦しみ抜いて死になさい? そしたら笑って許してあげるわ。 そう、苦しんでね…

13年前

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今朝、そんな手紙が俺のアパートのポストに入っていた。 一体、俺が何をしたっていうんだ。 この手紙からは相当な恨みが感じられる。だが、今月から住み始めた俺には全くといっていいほど心当たりがなかった。 もしや、前の住人宛ではないのか?近所の人の話では、夜逃げ同然で引っ越したらしいが。

yoi523

12年前

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最初は気にしていなかったが、だんだんエスカレートしてきた。 手紙は2日おきに4通づつ入れられ、しまいには、女ものの下着や思い出の品らしきものまでポストに入ってた。 さすがに怖くなり、大家に相談したら、2ヶ月後に同系列のマンションが空くと言う。 すぐに手続きをしてもらう事に。 なんなんだよ…。 前の住人は一体どんだけの恨みを買ってたんだよ。 お陰でまた、近々引っ越しだよ。 一体どんな奴なんだよ。

anpontan

12年前

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二ヶ月だ、二ヶ月耐えよう。 恐ろしいのは郵便屋でなく直にポストに入れられてることだ。どこの誰か分からないけど女の執念は怖い。 とりあえずポストに名前張っておいた。貴女の目的の男は俺じゃないですよ、っと。 それが功を奏したのだろう、手紙はこなくなった。俺は引っ越しも決まって安心しきっていた。 あとひと月というところで恐怖が再び襲ってくる。 逃げられないわよ 私、見てるんだから

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その文字を見た瞬間、俺は反射的に後ろを見た。 窓は閉まっている。手紙がきた時に怖くなり、2ヶ月前に閉めたままだ。 窓に近づく。 窓脇では夏の虫たちがのたうちまわっている。執拗に明かりを求める姿はとても気味が悪い。 ああ、この光が炎ならば、俺を狙う害虫などすぐに追い払えるのだが。 玄関も閉めなきゃ。 俺は扉の鍵をかけた。いや、何かがおかしい。 恐る恐る覗き穴を見ると、俺は真っ黒に覗き込まれた。

李風

12年前

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「みぃ…た…な」 かすれた声が耳元で囁かれた気がして俺は咄嗟に覗き穴から目を離し布団の中に逃げ込んだ 何なんだ!!俺が何をしたってんだ!! 俺は悪くないのに!!呪われるようなことも見張られることも…!!なにも!! 今すぐにでもここを出たい。 もう我慢なんてしてられないかもしれない 俺は覗き穴を見ていらい引きこもりになってしまった。

non

12年前

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それから布団から出ることさえ怖くなってしまい、一日の大半を寝て過ごした。 しかし布団の中でも、あの声が繰り返されてまともに寝ることはできなかった。 どれくらいの時が経ったのだろうか。 プルルル… 電話が鳴る。 誰だろう? おそるおそる受話器を取る。 大家からだ。 よかった。 ようやく終わる。 終わるんだ!

Code.147

11年前

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「火事よ!早く逃げて!」 何て事だ。俺は部屋から飛び出した。待てよ、今の声、大家の声より若くなかったか? 「みぃつけた。」 廊下にサングラスをかけた女がいた。 「何度もあんたとここで寝たんだもん。この家とか、気配くらいすぐわかるよ。あんたに眼を潰されててもね…さ、私の家に行こっか。あ、な、た。」 女はサングラスを外し、眼があるはずの空洞を見せた。意識が薄れ、女の声がこだまする。 「許さない」

と り

11年前

- 完 -