マスカレイド 流れるワルツは まるで劇薬 気取り屋アンナの ドレスは目の毒 ホルムアルデヒドは 小瓶の中に カレイド・スコープ 覗いたような 夜の底 逆さま水盆 水をたたえた いかさまダイスは 全部6の目 三月生まれの黒猫が ガラスの小瓶咥えてた *夜をテーマに妖しい雰囲気の詩を作ってください。詩のタイトルもお願いします。
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黒と白の交錯 ふわりと降り立つ二つの影 片方は白の猫 片方は黒の猫 交錯し 混じり合う やがて一つの物語を創り出し 彼等は 闇に消えてゆく にゃぁと鳴き声が聴こえたなら それは合図 あなたも闇に溶けて ふわりと降り立つ二つの影 片方は猫 片方はあなた
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И i g h t m a r e C i r c u s 緋いカーテンめくってみれば 乱痴気騒ぎのガーデンひとつ 猛獣どもは鉄格子 道化師どもは結合し 繰り広げらる喧騒に 悪寒を靡かす幻想に 震えが足元揺らすだけ エルフが手首を掴んで引き連れる 進んだ すくんだ どうしようと動揺し こうしようと高揚し 飛び込んだが運の尽き 私は目が覚め背が冷えた
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月日目 漆黒の空にポツリと浮かぶ金色の月 ギラギラ ギロギロ 鋭い瞳で世界を見てる 蛇のように鋭く 無生物の様に無機質で 恐ろしくて ゾクゾク ドキドキする月に あぁ、クラクラする あぁ、ブルームーンが飲みたい。
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夜の虹 夜二時、夜の虹を見る、光も闇も七色 そのダンスフロアでは、すべてのものが産声を上げる 真夏の瓢の震撼のよう 真冬の蝉の叫喚のよう 夜三時、夜の虹は嗤う、光も闇も弓形 そのダンスフロアでは、魂たちが息を巻く あがる呼吸は緑の幻 しなる背中は赤の夢 夜四時、夜の虹が消える、光も闇も一つに そのダンスフロアでは、すべてのものが息絶える 夜明けの闇への迎合のよう 夕焼けの光への殉死のよう
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【縁日】 口に人差し指を当て 溜まりの金魚に生気を吹き込む 彼女は笑ったぞ 彼女は思いだしたぞ 狐の面を取り外し 言葉の渦があなたを拐かす 彼女は笑ったぞ 彼女は走り去ったぞ 露店の主は淡く光る玉を売り 引力線の下で 青い音を奏で出す 月という物のあらましは ひとえに解明できる物ではないのだから 今日くらい虹でも見せてご覧なさい 彼女は笑ったぞ 彼女は金魚になったぞ
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*この夜闇も貴方の物 黄金色の淡い光が貴方を照らす。 夜の闇の中でただひっそりと眼を瞑って静かな時に永遠に生きる貴方は美しい。 深夜二時の冷気も 今は貴方を演出する小道具。 エメラルドの瞳の黒猫が 貴方の美しさに賛美の意を示すように小さく鳴いた。 キセキの色した花に包まれて 月の光に抱かれて ひっそりと佇む綺麗な貴方。 私は額縁にそっと触れて、 そんな貴方にキスをした。
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寒夜譚 墨の色の淡く更けて 微笑麗し観音菩薩 絢爛たる轟と 灼然たる業とが などか雲散霧消せざらん 甍の淵 爪先立ちて そは段降る 天女にありや 柔らかき薄紅の 細き指にて すさびせんとて。
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暁 白い月は静かに嗤う どうせなら朽ちてしまいなよ 私と比べたら ひどく短い人生だ さあ、堕ちておいで 何処までも 何処までも 一緒にいこうじゃないか 冷たい空気は吐息を凍らす 白い霞が消えるとき 僕は月の甘い毒に手を伸ばす 足元で黒猫が鳴いた 蒼と金の瞳は 漆黒の空に溶ける 白い月は口惜しそうに消えた また、お前を迎えに来るよ 背後からしっとりと 火輪が微笑んだ
- 完 -