トイレの花子さん

花子さんの代を譲ってもらって早一年となりました。 旧校舎が取り壊され、新校舎でのトイレの花子さんとなりました旧姓間宮華子といいます。 ようやく初心者マークがとれたので新校舎のトイレの縄張りは晴れて私のものとなりました。 さてこんなご時世。花子さんの古めかしいイメージは捨てて、新しい花子さんを作るべくスク水なんか着て仁王立ちなんかしてみたんですが 「あ…」 ひ弱そうな男子生徒に目撃されちゃいました。

あいく

13年前

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あれ?ここって女子トイレじゃなかったかしらん。 私は恥ずかしさよりも疑問が勝って、そのまま男子生徒に尋ねたのです。 「もし、ここは女子トイレだったと存じますが……」 「ご、ごめんなさい!ぼ、ぼく、男子トイレではしたくなくて……!まさかトイレで着替えてる女子がいるとも思わなかったしっ」 あれまあ。 私の影が濃過ぎるのか、彼は私を生身の人間と認識した様子。これでは先代に呪われてしまいます。

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「別に私着替えをしていたわけではございません。私、トイレの花子さんです」 「え?と、トイレの花子さん?」 「ええ。イメチェンをしてみたのですがいかが?」 「え、す、すごく可愛いと思います…」 ん?可愛い?変ね、それじゃ先代に怒られちゃうわ。 「でもトイレの花子さんとか言うのはやめたほうが…」 なんか顔を赤らめた彼はモゴモゴ言っているけど聞こえないわ。 衣装チェンジ! ミニスカ、セーラー服、ブルマ…

Iku

13年前

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「あ、しまった…」 気づいてからでは遅かった。 なんと彼は鼻血を垂らして倒れてしまったのだ! 「幽霊って認識されてないんだった…」 今度こそ先代に怒られるっ!!! ぼわぁん 「花子ー遊びにきたよー(^^)」 「せ、先代…」 「あれ?なにやってんの?てかそれなに?w」 「これはっ、そのっ…」 「あ、わかったー!トイレの太郎じゃーんwwwなにやってんのw」 「!?」 先代知ってるんですか…

(≖ω≖)

13年前

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「トイレの…太郎?」 いかにも幽霊と言った感じの名前だが、それにしては言動が可愛すぎる気もする。 何が「す、すごく可愛いと思います」だ。 とは思ったものの、花子はトイレの太郎に多少の好意が芽生えた。彼もこの学校に住み着く「同僚幽霊」なのだ。面白そうなやつだし、仲良くやっていこう。 そう思って彼の背中に手を当て、起こしてやったがまだもじもじした様子だ。 面白そうにこれを見ていた先代が、口を開いた。

Yasu

13年前

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「花子、あんた暇でしょ?ちょっと太郎の人見知り治すの手伝ってやってよ」 はい?なんであたしが? 「なんで、あたしなんですか。先代でもいいでしょうに」 すると 「あたし、これから雑誌の取材あるから無理よ『恐怖!トイレの花子さんは実在した⁉』ってタイトルで」とのたまった なに妖怪が取材受けてんですか! 「とにかく、まかせたよー。それにあんた結構好みのタイプじゃないの?」後半を小声で言って姿が薄れてゆく

弥太郎

13年前

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「全く、お騒がせ者ですね、先代も。それが仕事だから仕方のないことではありますが。それより、楽になりましたか?」 私は太郎君に話しかけてみました。 「は、はい」 太郎君は顔を真っ赤になされています。(かわええ) 「私は最近ここを任されるようになりました。未熟者ですので、今後ともおつき合いお願いします。そういえば、太郎君はここについて長いのでしょうか?」 「は、はい」 太郎君はずっとこんな調子でした。

aoto

13年前

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「そんなんで大丈夫なの?」 太郎君はビクリとして

13年前

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拝啓 先代、取材の方はうまく行きましたか?あの後ふふ、太郎さんたらこう仰いました。 「いっ一応幽霊としてはエリートでっ、花子さんを守り続けていく所存でありますっ!」 それからというもの私に付きっきり。それで男子トイレの先代が怒ってしまわれましたの。先代への片思いは有名ですものね。やっかみなさってしまわれて。 でも、私、めげちゃいませんの。この学校と生徒が大好きでたまりません。 頑張りますわ。 花子

todoelmund

13年前

- 完 -