生徒会の活動の一環として、生徒会への要望BOXを作ると、意外と反響が大きくてびっくり。ただその反響の大きさの反面、僕の仕事内容に、要望に一々目を通すという仕事が増えた。…これが会社なら残業手当が欲しい… まあ、僕が入りたくて入ったんだから仕方ない。今日も何枚か出て来た。 まず一つ。 【この校舎寒すぎです】 …それを生徒会がどうしろと⁉ 明らかに学校への要望BOXと化している…
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二つ目 【立ち上がれ、生徒会!】 これに至っては、イタズラとしか思えないな。あれ、まだ続きがあるようだ。 【今は眠りし君たちの能力を開花せよ】 うーん、やはりイタズラだな。こんなことを書く暇な生徒もいるというわけか。 三つ目は…
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四つ目 【みよくゃぎ!すぶつをいかといせ!スブツヲイカトイセ!】 内容が意味不明なセリフときた。 ここの連中はイタズラ好きの集まりか。情けない連中だ。 最後の五つ目に賭けよう 頼む。要望BOX!マトモな要望を。
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…え?三つ目?? …!!あ、いや、無視してたわけじゃなくて…あの、ほら、そう‼イ、イタズラ!!!イタズラだったんだよね!!! ハハハ、いやー困ったなー、うん、困った…いや!別に顔赤くなんてなってないから!!なってないって!あ、ダメ!!見るな見るな!!!会長命令!!!あー!!もうだから赤くなんてなってないっつーの!!! ほら!もう五つ目いくよ!!! え、えーとなになにー??
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五つ目 【屋上に天文台を作る】 …これは要望とかでなく、もはやそういう予定であるかのような断言口調で、命令(?)している。 誰が聞くもんか…と、生徒会としての自制心でもって、要望用紙(裏紙切っただけだけど)を破る事を精一杯我慢しつつも先を読むと、 【金は有ります】 え…、金を絡ませますか…? 【時間:○月××日4時半…】 え、今日⁈ 【…場所:生徒会室】 この人、本気だ… 「皆、緊急事態だ!」
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「ーーというわけなんですけど...」 生徒会室に猪一番にいらっしゃっていた会長に事情を説明する。 会長はその要望シートをしげしげと眺めながらこう言った。 「疑問はいくつかあるが、おおよそ可決の方向で取り組んでいいんじゃないか?」 僕は呆気にとられた。いや、会長の命とあらば概ね賛同するが、てっきり自分の中ではこの案件は完全に棄却すると思っていたからだ。 「では早速だが、君に命令を言い渡す」
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「天文台の然るべき設備を整えるように! 段ボール小屋、望遠鏡の類ではごまかされないぞ! 星を眺められるように設けるのだ」 会長は断言すると、席を立つ。 「会長! いくらなんでも生徒会の予算だけではとてもとても」 「金はあると書いてあるではないか!」 「しかし、どう考えてもこれは生徒会だけの手に余る議案かと」 「問答無用! 私の決定は絶対である!」 仕方がない。アレを購入しよう。
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「アレ? そうか、アレか?!」 株、である。むろん、野菜の方ではない。なるほど、株で儲けてその金を資金に、天文台を建設せよ、という事だな。 でも、幾つかの問題が生ずる気がする。一、高校生だか中学生が、株の売買をしても良いのか。そして。一、株の売買だとしたら、今日の期日には間に合わない! うーむ。これはaoto神の神託でも受けねば本当の所は分からんが、アレって何だろう?
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「あんたが正解」 後ろから誰かの声がした。はっ!として振り向く前に、僕の頭に激痛が走り、意識が遠のいた・・・・。 目を覚ますと、そこは生徒会室。 「気がついたか。」 見ると、会長も同じようにやられたらしく、座りこんでいた。 「さっき目が覚めたら、こんなものが置かれてたよ。」 そう言って会長が見せたのは、あろうことか3つ目の要望だった。 「イタズラじゃねーよ」 同封されてたのは、株だった。
- 完 -