空からうさぎが降ってきた
ある夜
満月がパックリと
割れた
夜空を見上げた俺は…
目がてんになった
どうなってんだ──
- 1 -
割れた満月の裂け目から、大量に降ってくるのだ---ウサギが。
白いのから黒いのまで、ばらばらとそこらに降り積もってゆく。
唖然としていたら、まだら模様のやつが俺の頭に直撃した。痛い。
しかし、そのお陰で少しだけだが冷静を取り戻すことができた。
「な、なんでウサギが降ってくるんだ!?」
「あれー、悠麻くん知らないの?」
背後からやってきたのは、同級生の剛だった。
…何故か、傘をさしていた。
- 2 -
知らないのー、と言われても。
知らないから唖然としたわけだ。
というか、剛は知ってるのか?
「かぐや姫が行方不明だとかで、総動員してんだよ。ニュースで言ってた」
……はあ?
かぐや姫?
今は昔、竹取の翁がなんたらかんたらの、あのかぐや姫、の、ことだよな?
- 3 -
「天気予報もかぐや姫のお陰で明日はうさぎが降るってさ」
それで傘をと頷きかけて、はたと我に返る。そんな訳ないだろうと否定しようにも、ウサギがそこいら中に転げ落ちてくる。
ぼいん、と頭に乗った一匹を鷲掴んでまじまじと見つめる。
「放して下さいってば、姫さまを探しに行くんですから」
もふもふした毛皮が喋るだろうか?否、俺は夢を見ているの違いない。
そうこうしているうちにウサギたちが集まってくる。
- 4 -
「姫様を知りませんか?」
「姫様を知りませんか?」
甲高い声の大合唱。
「かぐや姫っつったら、竹林の光る竹ん中だろっ!」
頭がおかしくなりそうで思わず怒鳴りつけたら、大量のウサギたちは一斉にどこかへ走り去っていった。ああ、助かった。
どうにか家に帰ってきた俺は思わず膝から崩れ落ちた。暗闇の中で、うちの裏山の竹林から、隠しきれない光がこうこうと溢れ出している。
もしかしなくても、あの中だ。
- 5 -
かぐや姫は絶世の美女として伝えられる。男なら興味がわかないわけがない。俺は竹やぶをかき分けて、光の源へと歩んだ。
しかし不安もある。あそこにいるのは赤ん坊じゃないのかと。
だがその心配はなかった。まもなく、光の中で気絶している美女を発見したのだ。
長く艶やかな黒髪にみやびなお召し物。かぐや姫その人に違いない。
俺は優しく、かぐや姫を両手のひらの上に乗せる。
どこかに打出の小槌も落ちてないか?
- 6 -
なんてゆってる場合で無かった。手の上の姫様は生き絶え絶えではないか!
すると、小さな声で姫様が何か呟いた。
俺は直ぐ様、姫様の言った様に行動した!
光り輝く竹の中に姫様を戻し、
俺は一瞬躊躇いながらもご命令のままにそこに熱湯を注いだ!
そして、蓋をした…
・・・3分が過ぎると…
「シュワッチッ!」
叫び声と共に等身大の絶世の美女が飛び出して来た!
「かぐや姫バニーガールモード!見参!」
- 7 -
あわゎ…。ビックリしたなぁ!
あまりの驚きに腰を抜かしていると、
姫様は
「本当に助けていただきありがとうございました、
ちょっと下界が懐かしくなり覗いていたところ、手を滑らせ落ちてしまい…。」
そうか、いや…それどころじゃないって…
月からうさぎが大量発生して、姫様探ししてんだよー、
姫様急がねば!とナイトを気取り颯爽と手を取りうさぎの元へ連れて行こうと…
あれ?姫様嫌そうに動かない。なぜ?
- 8 -
背後には大量発生したうさぎたちが待ちかまえていた。
「姫様」「姫様」「姫様」
「姫様」「姫様」「姫様」
ひょこひょこ飛び跳ねている。
あー。わかるわー。
「そなたに問題を遣わしたい。この溢れかえるうさぎたちを振り払い、私に麗らかな下界を献上してくれませんか」
これは大臣に出したかぐや姫の難題ってやつだな。
「是非とも、貴方に案内してさしあげましょう」
俺はかぐや姫の手を取り、走り出した。
- 完 -
作品情報
空からうさぎが降ってきた
#2630
- リレー期間
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16日