ハナサクモリノ彡千
「ずっと音楽を聴いてればいいんですか?」
「そう一週間ずっとね」
大学のアルバイト、私はあるマンションの一室に連れられていた。部屋のいたるところにはカメラがついている。これから私はここで一週間生活する。
音楽を聴いていれば後は何をしていても自由みたいだ。部屋にはDVDや本が大量に置かれていた。
これで十五万円もらえるのだから、おいしいバイトだろう。
私は呑気にもそんなことを考えていた。
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一日目
さて、音楽を聞くか。大量のCDの中から適当に一枚を選んだ。
よく見ると、パッケージが無く、CDにはカバーが。
何の曲が入ってるんだ…?…とりあえず、聞くか。
ある~ひ もりのなか くまさんに であ~った
あれ?これって…「くまさん」!?
って事はこのCD、童謡のCD!?
一通り聞いたが、案の定その通りだった。
周囲を見ると、ほとんどが子供向けのものばかりだった。
…なんてこった…
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二日目
子供の頃に好きだった曲を選びながら一通り聴いた。
思い出が蘇ってくる。
この曲は幼稚園で、この曲は車の中で、この曲はテレビで…
童謡も改めて聴くと楽しいな。
まだまだあるし知らない曲もいっぱいありそう。
ふぅ、ちょっと疲れたな。
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三日目
DVDを鑑賞しつつもBGMには「汽車ぽっぽ」。
初日は童謡がかかる中就寝するのに苦戦したが、三日目ともなると、何だかそれが割と自然になってきた。と言うか、日常生活で意識しない時計の秒針音みたいなもので。気にして聴かなければ何が流れているかわからない。
これは良い傾向だ。
そう思っていたのだが。
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四日目
今日も童謡を流し、本を読もうとした。
だが、奇妙な感じに見舞われた。
本に書いてある一部の漢字が読めない。今までかなりの本を読んできているのにだ。しかも、だんだん文章を見るのさえ嫌になってきた。
仕方がないので、DVDを見る事にした。だが、なぜか洋画を見ても面白くなく、特撮ものやアニメが無性に見たくなってきた。今までも特に嫌いではなかったが、ここまで見たくなるのは初めてだ。
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五日目
子供の頃に流行ったアニメを観てみる。ふいに主人公が泣きだした。『おかあさん…おかあさん…』そう呟きながら。
おかあさん…
いつの間にか私も涙していた。なんとも言えぬ淋しさが胸に広がり、どうしようもなくなる。なんだか一人だけ世界から取り残されたような気分だった。(ははっ、泣くなんてばかみたい…)自分で自分を笑いながらも涙は止まらない。堪らなくなり思わずギュっと膝を抱いた。
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6日目
一体どうしてしまったと言うのだろう。あれから母や家族に会いたくて堪らない。
昔のようにおんぶや抱っこをしてほしくて夜もぬいぐるみや絵本が無いとろくに眠れないのだ。
そして何よりも外で遊びたくて仕方がなかった。だがカメラがついているのでむやみやたらと外に出る事は許されない。
野菜も食べられなくなってしまった。私はだんだんと恐怖を覚え始めた。
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>目日
令日は、アハル"イTさいごの日でしtこ。
タべは、こわくて目民られませんでしtこ。
でも、日月日のあさ(こ は、お家(こ かえれます。
tこ"から、きようは、
いままでよいも、tこのし<、cDお、耳ましtこ。
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て"モ、レ" カヾ れ£わて
カヽ(+ ら し +ょ 〈 +ょ >て
(〒 ま レ tこ 。
マア tこ£ (+ Z
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サブリミナル効果と記憶変換に関する実験8日目
被験者男女各5名に対して、絶えず催眠効果のある音楽を聴かせた結果、男性3名、女性4名の記憶の一部に変化が認められた。
中でも顕著な効果があったのは女性被験者C。記憶だけでなく、知覚、感覚も幼少期に逆行した。
実験後、Cは催眠を解かれた後も記憶が混乱している模様。
童謡『森のくまさん』を実験中に聴いたと報告しているが、記録にそのようなデータはなかった。
- 完 -
作品情報
ハナサクモリノ彡千
#1476
- リレー期間
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5日