みらいのーと

ある日の学校の帰り道に、私は変なノートを拾った。

表紙には"みらいのーと"と誰かが擲り書きしたような文字がある。

ぺらぺらと捲るも、何も書かれていない白紙のページが続く。

何も書かれていないのか、と少し残念に思った瞬間最後のページにこんなことが書かれていた。

「明日、世界が終わると告げられたら貴方は何をしますか。」

ちゃむ。
- 1 -

──明日世界が終わったら何をするか…。

"みらいのーと"を家に持ち帰った私はそのことばかりを考えていた。
そもそも、世界が終わるとはどんなことなのだろう。
病気などのように、一日かけてじわじわ終わるのか、核とか兵器などで痛みもなく一瞬で消えるのか…

「まあ、明日世界が終わるわけないし…今日はもう寝るか」

ペンネ
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「緊急速報です! 緊急速報です!
ただ今、アメリカ大統領から『明日、日本時間 12月31日 午後6時、地球に直径およそ10万6千キロメートルの隕石、約17個が衝突する。人類が助かる術は無い』と速報が入りました!みなさん直ちに避難してください!繰り返します、──」

耳を、疑った。

ニュースを読んでいるアナウンサーの周りに、逃げ惑う多くの人々が見える。

私はふと、"みらいのーと"を見た。

伊藤
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恐る恐る"みらいのーと"を手に取る。そして小刻みに震える手で、ページをめくっていく。
最後のページにつくと、私は動きを止めた。

「今日、世界が終わると告げられたら貴方は何をしますか。」

その文面は昨日のものと少し変わっていた。

「ひっ……」

思わず手を離してしまい、"みらいのーと"は私の足元に落ちる。私はしばらく、落ちてしまった"みらいのーと"と睨み合った。

焼きそばぱん
- 4 -

少し冷静になった私は、その"みらいのーと"を拾い上げ、再びぺらぺらとめくりだす。
何かが変わっているかもしれない。そう思って全てのページを再び見たが、変わっていない。

「…っなんでよ!」

私は思わずノートを机の上に投げた。
ノートはバサっと音を立てて、あのページを開いていた。

「今日、世界が終わると告げられたら貴方は何をしますか。」

そのページを見た瞬間、私は無意識の内に鉛筆を持っていた。

- 5 -

「まずは友達のえっちゃんのとこに行って、それから買い物…お店閉まってたら近所を散歩してもいいし。あ、あと村上くんに告白して、一緒にデートしたい!それから釧路のおばあちゃんに電話して、晩御飯は絶対オムライス! ホントは外で焼肉食べたいけど。あっ、パンダ!パンダモフモフしたい!」

やりたいことを思いつくまま書き綴り終えると、半分もノートを使っていた。
時計を見ると1時間も経っている。

ぱっちん
- 6 -

残されている時間は確実に減ってきている。
それでもこのノートに書き込むことをやめられなかった。
いや、書かないとダメな気がしていた。
書き始めて2時間後、やっと書き終えた。

「…よし、出来ることからやっていこう」
ノートにまとめたお陰か、私は落ち着いていた。
まずは釧路のおばあちゃんに電話した。
えっちゃんに会って近所の公園を散歩した。
村上くんに告白して動物園デート。
パンダモフモフも出来た。

林檎飴
- 7 -

今日は時間の経過が早く感じた。
やろうと願ったことを次々とこなしていき、その順調さは世界が私を中心に回っているかのようだった。

気がつけば夜道に一人。
街はどうだったかと思い返してみるが、ただ騒がしかったとしか記憶していなく、はっきり言ってよく分からない。
街灯もやる気をなくしてしまいそうなほど、地球を見下ろすいくつもの隕石で空はやや明るい。
肉体的疲労は全く感じず、精神的疲労は大きく感じた。

シンキ
- 8 -

そのぶん、達成感はあった。
今まで生きてきた中で、一番の充実した日と言える。
そんな日が、世界の終わる日なのが悲しい。

時間通りに隕石群が衝突したが、この近くには落ちなかったらしく爆音も爆風もなく静かだった。

ただ数時間後には猛火が街を襲い、激しい風が私達の逃げ場をなくした。

私は"みらいのーと"の文字が「昨日、世界が終わりましたが貴方は何をしますか。」となっている夢をみたくて目をつぶった。

ぷにぷにヒロ坊
- 完 -

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