羊雲がぽくぽくと群れをなす秋の日。 今から丁度一年前、オルガモドット東部の森にて発見、修繕され旅立ったと言う飛空挺が久々に帰挺すると言うので、ショコシャトー空中庭園は野次馬でごった返していた。 飛空挺を所有しているのは、発見者である少年少女を含むハニィメイプル紀行団。世界各地を飛び回る冒険家集団である。僕は彼らのファンだった。年が近いのもあり、情景と嫉妬の混じった想いで冒険譚を読んでいる。
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わあっと歓声が上がり、紀行団の三人組が飛空艇から去っていく。やがて賑やかな群衆の中から親友が姿を現した。 「ルプア!遅いじゃないか。帰挺を見逃したよ」 そう声をかけると、彼は「ごめん」と苦笑する。 親友と僕も冒険家だ。冒険の計画を練る際には彼らの冒険譚を参考にした。だからこそハニィメイプル紀行団の人たちに会って、話を聞きたい。 「おい」 ルプアが目を丸くする。 「あれ、エリーじゃないか?」
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