《架空読書会のお誘い》 実在しない本のタイトルをテーマに、空想から感想、批評、考察を論じる。その様な企画があるそうで、楽しそうなのでこちらでもやってみたいと思いました。 ルールは、他の人の話を否定しないこと、だそうです。 (例:Aさんが〝猫の死が悲しかった〟と言ったのに、Bさんが〝猫は死んでない〟などとするのはNG) 今回の架空書架は 『沈没船商會棚卸表③〜他人の空似に御用心?!〜』
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舞台は江戸時代、出島。 沈没船から商品を仕入れ、売買する商人、尾形潘佐向井 菅衛門(おがたぱんさぁむかい かんえもん)……通称「芸人」の、ドタバタな日常を描いた痛快コメディー。歴史的背景を描写しつつ、その時代ではあり得ないギャグシーンを盛り込むところが非常に愉快な作品です。 特に今回は芸人が自身と瓜二つの顔を持つ外国人、ポリー提督と間違えられるという、いつも以上に破茶滅茶な展開で笑わせられました。
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私は、その場面は未だ出ぬ次巻への伏線だと思いますね。 芸人がギャグの場面に陥る時、それは大体が芸人にとって、危険となりうるもの、あるいは事態がある時です。 例えば、芸人が上司の喜代兵衛(きよべえ)から預かった、見てはいけない文書を開けようとした時、突然クライオス宋江が現れたりして、そこからギャグパートです。 私には、芸人と同じ顔のポリー提督にはもっと重大な秘密が隠されている気がしてならない。
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自分はこの第3巻にシリーズで一番大きな伏線があると思うの。 それは、物語中盤に出てくる主人公と長崎奉行の南手 火駄右衛門(なんて ひだえもん)の対面シーンなの。 提督に間違えられた主人公は、南手に殺されかけるんだけど巧みな話術でやつのやる気を削ぐの。 そして、主人公が南手の家から帰った後、彼はこう言って使用人に刺殺されるの。 「やっと見つけた、私のご主人様を」
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私は一巻で出てきた荷物運び、三度一万(さんどいっちまん)が好きだったなあ! 見た目も言動も怪しかったけど、じつは故郷のおっ母のために頑張ってたんだよね。 てか途中で双子って気づいた人いた? 後で読み返すと入れ替わっているっぽい描写があったんでビックリしたよー なんで「初音美久観音像」が沈没船にあったのかわからないけど、お堂も作って貰って参拝もしてもらえててよかった。
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すくなちゃん、初音美久観音像の秘密は次巻で明かされますよ。実はポリー提督の…ごにょごにょ…おっと、ここ迄にしときますね。 さて、皆さんストーリーに対して感想述べてるので私は作者の金春亭こんぺい先生について。 流石は元落語家ですよね!主人公の芸人という設定は噺家異端児と呼ばれた先生ご自身の投影ですね。 主人公の巧みな話術とギャグは、その原点とも言える先生の噺家時代の動画を視れば誰もが納得ですよね。
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皆さん作品の元ネタや背景に詳しいですね。私はそういうものには疎いので、新感覚のエンタメ時代小説として読んでいます。 ……にしても3巻結末!あれは不穏すぎる!芸人のいつも以上の珍騒動に大笑いした最後の最後。長屋のアイドル蒲公英ちゃんが吐血して倒れてるのが心配過ぎて、先生の公式ホームページのコメントを覗いてきちゃいましたよ。『カッパンウツルシニガミ』ーー相変わらず気になる呟きで次回作も正座待機決定!
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『沈没船商會棚卸表』シリーズ3巻…1巻2巻のコミカルな展開がありつつもシリアスな展開になってきましたね…。 主人公と蒲公英ちゃんの事件に因果関係がありそう。 その事件が起きる前の章で使用人が謎の人物と初音観音堂の裏で密談をしていたのが気になります。この人物が次巻以降の鍵を握ってそうです。 この巻の癒しが浮世絵師の生馬寅瑚と梧桐清治、藤孝鈴廣、芥子花上々の四人! 彼らが主人公・芸人の助けになる!
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さて、ここで、ビッグニュースです! なんと、『沈没船商會棚卸表』シリーズ4巻の発売が早くも決定しました〜! そしてそして、その『沈没船商會棚卸表』シリーズ4巻、早期予約特典が、なんとなんと、初音美久観音像の手彫り木製フィギュアに決定です! ……えっ? 觀音像の木製手彫り? それ、リアル觀音像じゃね?
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