《架空読書会のお誘い》 実在しない本のタイトルをテーマに、空想から感想、批評、考察を論じる。その様な企画があるそうで、楽しそうなのでこちらでもやってみたいと思いました。 ルールは、他の人の話を否定しないこと、だそうです。 (例:Aさんが〝猫の死が悲しかった〟と言ったのに、Bさんが〝猫は死んでない〟などとするのはNG) 今回の架空書架は 『ボウエンごじら、シズムまち』
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子供向け絵本と思いきや、今流行りの大人の絵本だったいうオチ。 怪獣「ボウエンごじら」の“ボウエン”は望遠、防炎、防煙と、あらゆる兵器が効かない最強仕様。 暴れるごじらになすすべなく、街は海へと沈んでいきます。 街を沈め、ご満悦のごじらは新たな街を破壊しにのっそのっそと歩いていくのでした。 このラストのシーン、表紙では夕日にしか見えない絵が実は街を包んでいる炎の明かりだったと知り、とてもショック。
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初見だと無敵のごじらが街を蹂躙した後に去っていくだけで「ん?」となりました。しかしその後友人に貸して感想を聞くと見方が変わりました。 一方的破壊とそれに抗えない理不尽な運命は、人の生に対する執着心を上手く引き出していました。 死ぬしか道はないけど死にたくない。だから戦って生き延びようとする。 この絵本は、私たちが普段享受している脅威とは無縁に近い日常と対比しており、考えさせられました。
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