オルガモドットを今最も騒がせている大怪盗一味シュガーロスト。彼らがココットポット百貨店に犯行予告状を投じたと言うので、僕と親友のルプアも大都市ラプルチアにある巨大百貨店に向かっていた。 この都は本当に色んな匂いと色が混じり合っている。とりどりの光のすぐ脇に、深い闇が落ちていたりするのだ。田舎出の僕たちには刺激が強い。 シュガーロストは命以外なら何でも盗み出す。けど、弱点がないわけじゃない。

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「奴らは甘い物に目が無いんだ」 だから、必ず作戦に引っかかる。ルプアは拳を握りしめて力説する。 「毎度のことだけれど、ルプアの情報網には目を見張るよ」 冷静を装う僕だって、わくわくしている。 「地道な情報収集の賜物さ。今夜奴らがどこから現れるかも分かっているぜ?」 「ホント?」 「ああ」 ルプアは百貨店の見取り図を広げる。 「奴らはダストボックス脇の通気口から侵入する」

ゆりあ

8年前

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「だったら、その通気口を塞いでしまえばいいんだね!」 先走って通気口を見に行こうとする僕をルプアが止める。 「まあ、待て。いったん落ち着いてくれ」 「どうしたの?」 「通気口は奴らの生命線だ。何らかのアクシデントに備え、下見の密偵くらい放っているはずさ。今ここで君が通気口を塞ごうとすると、奴らは必要以上の警戒をする。そこで俺に妙案があるんだ」 ルプアの計画に僕は耳を傾ける。

aoto

8年前

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