《架空読書会のお誘い》 実在しない本のタイトルをテーマに、空想から感想、批評、考察を論じる。その様な企画があるそうで、楽しそうなのでこちらでもやってみたいと思いました。 ルールは、他の人の話を否定しないこと、だそうです。 (例:Aさんが〝猫の死が悲しかった〟と言ったのに、Bさんが〝猫は死んでない〟などとするのはNG) 今回の架空書架は 『盤石カノジョと半熟カレシ』
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読者から「早よくっつけ!」という声が聞こえてきそうな夫婦漫才的作品ですね! 主人公のワタルとミユキは幼馴染にありがちな変な対抗心があるんです。で、 「絶対お前みたいな嫁は貰わん!」 「こっちこそお断りや!」 ってお決まりのやりとりを周囲は温かく見守るわけですよ。大学生になって、ワタルはひょんなことからチェスのアマチュア全国大会を観に行ってクイーンのアリサちゃんと付き合ったのには私もビックリでした。
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頑固なミユキと、人間として未熟なワタル。すれ違う2人の軽快なやり取りは読んでいて飽きを知りません。 特にワタルがアリサと付き合っていることを知ったミユキが、ショックのあまりワタルの家にあった卵を全て固茹でのゆで卵にしたシーンは、ワタルを想うミユキの本当の気持ちが伝わる、印象深い場面でした。 実写化も検討されているそうで、今後も目が離せない作品です。
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実写化の話が出たので、まず原作を読もうと購入。 磐石と半熟という言葉でどんな人たちか何となく掴めましたが、予想以上の微笑ましさで一気読み不可避でした。 例のアリサちゃんと交際するシーンでは「なぜそっち行ったー!」と頭を抱えました。ミユキが固茹でのゆで卵製造マシーンと化した場面はニヤリとしつつ、彼女の想いがガッツリ伝わりました。 ちなみに物語の舞台は東京の蒲田。実写化したら聖地巡礼で流行りそうです。
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ミユキ、かっこいいんですよ。正直ワタルより全然かっこいい。 卵を全て固茹でにしたミユキは、何も言わずにアリサの所に行くんです。そして、チェスの決闘に挑む。ここからが最大の山場じゃないかと僕は思います。 しかし何が素敵って、ミユキはキングの駒をワタルの家の固茹での卵、クイーンを(いつの間に用意したのか)半熟卵にして戦うんですよ。 ここはやっぱり、ワタルへ抱く感情の暗示だと思いますね。
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